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『鼓月』の創業と和菓子コンセプト

和菓子なのに洋風なのが『鼓月』のお菓子です。全国のデパートで見かけることも多いのではないでしょうか。『鼓月』は戦後の昭和20年に京都で創業を開始した老舗の和菓子店です。それまで和菓子には用いられなかったバターやミルクを使用して、全く新しい和菓子を作り出しました。『鼓月』という屋号は、妙心寺の管長だった古川大航老師が命名しています。「鼓の響きが天高く月まで届くように」と業績発展を願いました。創業当時の『鼓月』は、京都の和菓子店の中では新参者でしかありませんでした。しかし、それが逆に和菓子の枠から超越するきっかけとなります。『鼓月』は京都の伝統と文化を活かしつつ、柔軟なアイディアで時代のニーズに合わせた商品開発をしていきます。試行錯誤を繰り返し、『鼓月』の顔となる和菓子を作り上げました。

『鼓月』の代表的和菓子

『鼓月』と言ったら一番に名前が上がるのが、「千寿せんべい」でしょう。実際には、見た目はせんべいと言うより、クッキーと言った方がしっくりときます。和菓子には珍しいヴァッフェル生地を使用しているそうです。ヴァッフェル生地とは、余り馴染みのない言葉ですが、ドイツ語でワッフルという意味になります。ワッフルならご存知の方も多いですよね。しかし、「千寿せんべい」は一般的なワッフルとは違って、波型の形状をしています。スッと入れられた飛鶴の影が波間に映る、風情ある和菓子です。シューガークリームをサンドしているので、和菓子が苦手な方にも美味しく召し上がって頂けます。

『鼓月』の和菓子「千寿せんべい」のラインナップ

「千寿せんべい」は昭和38年に誕生し、その人気は不動のものとなりました。千寿という菓子名も、縁起を担ぐ日本人に重宝される要素ではないでしょうか。クッキーのようなホロホロと口の中で溶ける歯ざわりは、幅広い年齢層に喜ばれる1品です。さらに、「千寿せんべい」に金箔・銀箔をあしらった豪華な商品があり、ご進物にも最適です。金箔と特別パッケージを施した、婚礼向けの「千寿せんべい(婚菓)」も、機会があれば是非使ってみたい商品ですね。その他にも、女性には嬉しいひと口サイズの「千寿せんべい」があります。ほうじ茶クリームの「千寿せんべい」や、季節ごとの限定クルームでも楽しませてくれます。

『鼓月』のその他の和菓子

「千寿せんべい」と同じく、『鼓月』の代表的な和菓子と呼べるのが「華」です。菊の花の形をした美しい和菓子になります。「華」が誕生した昭和30年当時は、バターやクリームを入れた焼き饅頭は珍しかったと言います。それ以来数十年経過した現在も、変わらず人気商品として店頭に並んでいます。パウンド生地にこし餡が入った、ホイル焼き菓子の「花洛」。羊羹をクルクルとそぼろ餡で巻いた「京の離宮」。「万都の葉」は松の葉が描かれた上品な最中になります。いずれも『鼓月』の代表銘菓になりますが、京都を意識した雅な菓子名にも風情が感じられます。

和菓子店『鼓月』の拘り

『鼓月』は食の安全と衛生に徹底して向き合っています。その取り組みが認められ、平成19年に厚生労働大臣表彰を受けている程です。素材においても、厳選していることは言うまでもありません。餡の原料である小豆は、日本中を探し求め、それぞれ作る和菓子に一番適した小豆を選び抜いています。小豆はさらに選別されて、自社内で炊き上げるという拘りぶりです。全てを機械化せずに、繊細さが必要な和菓子に関しては、職人による手作りがなされています。手間暇惜しまない姿勢が、美味しい和菓子を作ることに繋がって行くのでしょう。