プリンは、洋菓子でしょう?と思われる方も多いと思います。
けれども、私たち日本人が大好きな、カスタードプリンは、外国のプリンとちょっと違うのです。
今回は、和菓子の視点から、プリンを考えてまいります。
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目次

和菓子の特徴とは!見直してみましょう

和菓子の歴史や、和菓子とは何かという定義を見てきたときに、いかに現在の和菓子の範囲が広いかということを見てまいりましたね。
『日本人の生活とともにある和菓子の歴史』も、ご覧ください。
日本のお菓子は、古代から、海外からの輸入菓子の影響を受け続けてきたのです。
生まれつき日本のお菓子である和菓子、数少ないのです。

たとえば、日本人に人気のお饅頭も、中国からの伝来品が、日本で独自の発展を遂げたものです。
あんは、中国では肉類を使ったものでしたが、菜食を好む日本で、豆類を使ったものが発展したのです。

また、奈良時代には、遣唐使の影響で、唐菓子(からがし)というものが入ってきました。
主に、宮中と神社仏閣で唐菓子は、もともとお供え物として作られていたのです。
その名残が、たとえば、藤原氏の氏神である、奈良の春日大社門前の萬々堂道則のぶと饅頭や、京都の亀谷清永の清浄歓喜団などに見られます。
せんべいや、かりんとうの祖先も、この唐菓子にあるという考え方もあります。

ところで、元は中国のお菓子であった、ぶと饅頭。
これを、いまさら中国菓子と考える人はいないでしょう。
いまや、完全に、和菓子と分類されるようになっています。
おなじように、南蛮菓子の定番である、金平糖やカステラがありますね。
これらをいまさら、ポルトガルやスペインのお菓子とは言いません。

ひとつには、これらが長年にわたって、日本国内で工夫されて発展したからです。
もはや、オリジナルの中国やスペインやポルトガルのお菓子とは別物のお菓子であるからですね。
カステラや金平糖には、すでに、日本の伝統のお菓子として歩んできた歴史があるのです。

そうすると、和菓子とは、日本で作られるお菓子の中で、外国のオリジナル菓子をのぞくもの、ということができます。
ただし、純粋に日本で工夫された製法を使っていても、たとえば、チョコレートなどは、まだ純粋な和菓子とは呼ばないでしょう。
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和菓子とは!正式の定義をした団体はない

実は、どんな権威のある団体も、和菓子とは何かという、はっきりとした定義はしてくれていないのです。
だから困るのですね。
逆に、和菓子協会などは、和菓子に狭い定義を当てはめることで、逆に、豊かな日本のお菓子文化をゆがめてしまうことを恐れているのかもしれません。
たとえば、いちご大福。
生クリームという、動物性の乳製品を使ったものもありますが、あくまでも、主材料ではありません。
ですから、大福のバリエーションとして、和菓子と認識されています。

しかし、明治以降、オーブンが製菓業界で使われるようになってからできた、焼き菓子などには、乳製品がかなりつかわれているものもあります。
桃山という焼き菓子がありますが、あれも、オーブンを使うようになって初めてできた和菓子です。
桃山には、風味づけに乳製品が使われることも少なくありません。
栗まんじゅうも、焼きまんじゅうですから、オーブンがなければ作れません。
これらはどれも、江戸時代にはなかった和菓子なんですね。

ですから、和菓子の特徴や、定義や概念は、今も生きて変わり続けているものなのです。
和菓子とは、日々、変わっていくものと考えていただきたいと思います。

和菓子とは!変遷する概念である

それでも、和菓子の大まかな特徴をまとめてみましょう。

第一に、日本の伝統的なお菓子であること。
または、洋菓子や他の国のお菓子に分類されないお菓子であること。
主材料が植物性のものであること。
動物性の主材料としては、カステラなどに使う、卵だけを例外とすることなど。
そして、和菓子の定義は変遷・変化していくということ。
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プリンは和菓子なのか

そして、その変化の最前線にあるのが、まさに、今日のトピックのプリンではないでしょうか。
プリンの原型は、英語のプディングに由来します。
プディングとは、イギリス英語では、食後のデザートの総称としても使われています。
そして、Dを正しく発音すると、「り」の音に近くなるのです。
「ぷりんぐ」から、プリンに音が変化したのですね。

では、ウィキペディアの英語版から、プディングの説明を見来ましょう。
穀物の糊(のり)や、卵などで固めた、ソーセージ状のものと関連が深いのです。
焼いたり、蒸したり、ゆでたりして固めたお菓子になります。

日本では、ゆでるプディングはあまり影響力がありませんでした。
イギリスのクリスマスに食べる、クリスマスプディングは、19世紀までは茹でて作っていたのです。
クリスマスプディングを蒸して作るようになったのは、20世紀のビクトリア朝以降なのです。
また、食事系のプディングも、日本では、一般には普及しませんでした。
最近になって、キッシュという形で、見直されているくらいでしょうか。
日本人にも、手軽につくれるものとして、普及したのは、お菓子のカスタードプディングだったのです。
このカスタードプディングが日本独自の発展をしたのが、カスタードプリンです。

1964年に、ハウス食品工業が、即席のカスタードプリンを発売しました。
そして、高度成長期の家庭料理として、一大ブームを引き起こしたのです。
それ以来、日本人の遺伝子には、カスタードプリンが刷り込まれてしまったといっても過言ではありません。
卵と牛乳を使いますから、当初の位置づけは、家庭でできる洋菓子でした。

しかし、2013年に、和食が世界の無形文化遺産として登録されて以来、和菓子も世界の脚光を浴びるようになりました。
その時に注目されたのが、抹茶のプリンなのです。
抹茶のチョコレートも世界中で大人気です。
いわゆる、和スイーツブームですね。
2015年には、抹茶はMATCHAとして、世界に通用するようになりました。
和菓子がそれを可能にしたのです。
たとえば、身近なところでは、通販サイトで人気の、京都のお茶の老舗、伊藤九右衛門の抹茶プリンは有名です。
さらには、抹茶なしで和菓子屋さんが作ったプリンとして、玉華堂の極みプリンなどもあります。
このように、プリンは和スイーツとして認識されることで、和菓子に近づいたのです。

和スイーツの筆頭としてのプリン

プリンというのは、原価が安い割に、食べて満足感のあるお菓子です。
クリームを乗せたり、モンブランのような形にしたりと、バリエーションを作っても、さして高価にならなりません。
これが、お菓子屋さんと消費者の需要と供給が釣り合いやすいのではないでしょうか。
プリンとロールケーキは、抹茶スイーツとして、ブレイクしそうな和菓子ですね。

今回は、変遷する概念としての和菓子という観点から、和スイーツのプリンを取り上げました。
和菓子は、長年をかけて、海外の影響も受けながら、発展してきたものです。
そしてまた、今もこれからも発展し続けるものであることを忘れないでください。

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