よく厳かな儀式で、和菓子を和紙に乗せて出すシーンを見かけますが、あの和紙は一体どんな意味があるのでしょうか。もしかしたら特に意味も無い、ただ見栄えのためだけの和紙なのでしょうか。この記事では和菓子をのせる際に使う和紙の正体についてご説明いたします。

目次

その用途は

この和紙はずっと昔、まだお皿という物が無かった時代に器代わりとして葉っぱが使われた時代から引き継がれている物だったのです。
和菓子を乗せる和紙には大きく分けて二つあります。それは「懐紙」と「かいしき」と呼ばれるものです。
実は呼び方が違うだけでどちらも同じなのですが、和菓子をのせる以外の使い道が違うため別物扱いされているのです。
かいしきの方は漢字で書くと「掻敷」となり通常はひらがなでの表記になります。これは料理の下に敷くものの意味で、和菓子をのせる和紙以外にもお刺身をのせる葉っぱなどもかいしきと呼ばれます。
そして懐紙は、そのまま懐に忍ばせておく紙という意味で使われます。ハンカチやティッシュ代わりになるために、鞄に忍ばせておくと非常に便利で、サッと使えるととてもお上品に見える代物です。
懐紙はメモ代わりになったりと実に多くの使い道があるため、是非一度どんなものなのか詳しくチェックしていただけるとより和菓子を楽しめるかもしれません。
懐紙について詳しく書いた記事もございますので、そちらもご参考にしていただけるとありがたいです。

かいしきの折り方

和菓子をのせる際にはただ敷いてのせるだけではいけません。そこはきちんとしたルールがあるのでもし使う予定がある方は知っておきましょう。
かいしきには「吉のかいしき」と「凶のかいしき」というものがあり、吉はお祝い事や普段日常の中で使うもので、今日はお葬式などの弔いの場で使うものと区別されています。
それぞれの折り方をご説明いたします。吉のかいしきはまずひし形に見えるように紙を置き、半分ほどから下から上へ折りあげます。
この時に下の角が上の角の左側に来るように折りましょう。下と上の角の近さはお好みで良いのですが、大体の目安は2cmほどです。
凶のかいしきは、ひし形に置き下から上へ折りあげるところまでは同じなのですが、この時下の角が今度は上の角の右側に来るようにしましょう。
吉と凶それぞれの折り方はこの一つのみが違いとなります。
そしてもう一つ、折り方のバリエーションとして知っておいた方がいいものは、黒文字と呼ばれる菓子ようじを挟む場所です。
和菓子を食べる際に菓子ようじが必要になるときはかなり多いはず。お菓子と一緒に出す際には吉と凶どちらでも同じ折り方で、かいしきの中央あたりから右下の部分を折りあげます。
黒文字が入っても違和感ない高さに折りあげれば大丈夫です。きっちりとミリ単位で決まっているわけではないので、神経質に折る必要はありません。

さいごに

この記事で和菓子をのせる和紙について少しでも知っていただけたら幸いです。
懐紙は文房具屋さんでも安く購入することが出来るので、この機会に是非1セット鞄に忍ばせておいていただきたいです。
思わぬところで使うことがあるかもしれません。あれば必ず「あー持っていて良かった」と思える便利アイテムですので頭の片隅に置いておいてください。