あんこの代表は言わずと知れた小豆あんで、白あんもあんこの代表格です。小豆あんが赤、白あんが白として紅白をイメージして縁起の良い和菓子として扱うものもあります。そんな日本人らしい感性も導き出してくれるあんこは和菓子にとって欠かせない材料です。

目次

あんこの歴史

餡子(あんこ)の餡の意味は、食べ物の中に詰める物のことを言います。和菓子で言うと餡は小豆あんなどの「豆を使った餡」のことで、中国で餡と言えば肉まんの中身などの「肉を使った餡」のことになります。

ちなみに餡という漢字の右側は「臽(カン)」という字が使われています。この漢字の成り立ちは人が穴に落ち込む様子から出来あがった漢字です。餡という漢字が中の物を指す漢字だということがわかります。

あんこは飛鳥時代(聖徳太子が活躍した時代、西暦600年前後)に、中国から伝わってきました。中国の「肉を使った餡」が今のあんこの原型だったと言われています。「豆を使った餡」となったのは鎌倉時代のことで、最初は甘くない塩を使った塩あんだったそうです。後の室町時代~安土桃山時代ごろ砂糖の輸入がされるようになってから、砂糖を使ったお菓子も登場しはじめたことを受け、江戸時代になって砂糖を使った今のあんこに近い形となりました。

あんこの種類(材料別)

・小豆あん
小豆(あずき)という豆を甘く煮て作る一般的なあんこです。家庭においては小豆からあんこを作ることも出来ますが、時間と手間がかかることから小豆あんとしてスーパーなどで売られているものを使うことが多いです。

・白あん
主に白いんげん豆を使ってつくるあんこです。白なので着色をしてアレンジがしやすいので、練り切りなどの四季を表現する和菓子に使われることも多いです。

・うぐいすあん
青えんどう豆を使ってつくるあんこです。青えんどう豆は豆ご飯によく使われる豆で、あんこは緑色です。

・ずんだ
ずんだと言えばずんだ餅です。枝豆を使ってつくるあんこで、あんこは緑色です。

あんこの種類(作り方別)

・つぶあん
甘く煮た豆を裏ごしせずに豆の皮を破らないように豆の形を若干残したままにしたあんこです。豆の皮の食感を楽しむことが出来ます。

・つぶしあん
甘く煮た豆を裏ごしせずに豆の皮を潰すものの皮を取り除かず残したあんこです。

・こしあん
甘く煮た豆を裏ごしして豆の皮も取り除いたあんこです。口の中でとけるようなしっとりとした食感を楽しむことが出来ます。

あんこの種類(砂糖の量別)

・並あん
生あん(水分量の多い60~65%のあんこ)100に対して砂糖を60~75、水あめを0~5加えたあんこです。一般的なあんこは並あんです。

・中割あん(ちゅうわりあん)
生あん100に対して砂糖を80~90、水あめを5~10加えたあんこです。

・上割あん (じょうわりあん)
生あん100に対して砂糖を90~100、水あめを10~20加えたあんこです。

まとめ

あんこがなくては和菓子がはじまらないくらいのあんこは見方によって様々な種類に分けられます。特に和菓子は同じような和菓子でもこういったあんこの種類を使い分けることで別の和菓子になるという奥ゆかしさがあります。おはぎひとつにしても小豆あんのおはぎとずんだのおはぎでは地方の特色も出てきます。また、小豆あんでもつぶあんとこしあんで好き嫌いが分かれるほどです。あんこの歴史とあんこの種類を知って和菓子を食べる楽しみもまた増えるといいですね。