和菓子屋さんで「きんとん」を目にしたことがあるでしょうか。「きんとん」は上生菓子のひとつで、生菓子のなかでも上等で季節の趣を表現した和菓子職人の技が繊細にあらわれる和菓子です。

和菓子「きんとん」の歴史

きんとんは中国のお菓子である唐菓子(からくだもの または とうがし)の「こん飩」からきたといわれています。唐菓子であるこん飩は、小麦粉の皮で小さく刻んだお肉または餡子を包んで蒸したものです。実はうどんも「こん飩」からきたといわれていています。中国から伝わったものが時代とともにいろいろなものに変化をとげてきていることが分かります。

和菓子「きんとん」とは

和菓子の「きんとん」は、練り切り(ねりきり、白餡に求肥や山芋粉などのつなぎ粉を混ぜて練り合わせたもの)や求肥(ぎゅうひ、白玉粉と砂糖などを混ぜて練り合わせたもの)で餡子の玉を包み込み、さらに小麦粉と砂糖と飴などを混ぜて練って裏ごししたそぼろ状の餡をまぶしたものです。このそぼろ状の餡のことをきんとんと呼ぶこともあります。

きんとんを裏ごしするときは和菓子屋さんではきんとんこしという専用のこし器を使います。ステンレス製のものや籐製や竹製のものがありますがメンテナンスのしやすさからステンレス製のものが多く使われています。家庭ではざるを使うことでそぼろ状の餡を作ることができます。こし器やざるの目の大きさによってそぼろの大きさも変わってくるので和菓子屋さんや和菓子職人によってひとつひとつ違う形になり、それがきんとんの特徴でもあり味でもあります。そぼろはまぶすといっても繊細なものですので、箸でふんわりとつけで和菓子の柔らかさを表現します。きんとんは餡の甘みがお茶請けにもぴったりで、外からの見た目はもちろん楊枝などで切ると断面もきれいで細部にまで食べる人の心を掴む和菓子です。

また、きんとんといえば、お正月の栗きんとんや絞ったような形の栗茶巾という栗きんとんもありますが、特に京都ではきんとんといえばこのそぼろ餡のことを指します。

「きんとん」と季節

そぼろの餡に着色をすることで季節の趣を表現します。一色でまとめたものもあればグラデーションのように何色も使ったものもあり、同じ色でも着色の具合いで違ったものとなり、とても豊かな表情を見せてくれます。

「春のきんとん」春のきんとんによく見られるのが桜をイメージしたピンクや寒い冬を超えてきた植物の新緑の芽を表現したものが多いです。また、菜の花をイメージして黄色を使ったものもあります。

「夏のきんとん」夏の植物といえばひまわりや朝顔です。ひまわりのイメージした黄色いものや朝顔の紫とピンクのグラデーションにしたものもあります。また海と空をイメージして水色と青色と白色を散りばめたものもあります。

「秋のきんとん」秋といえば紅葉です。オレンジや黄色のグラデーションをあしらったものが多いです。朱色と紫でさつまいもと紫芋をイメージした食欲の秋を連想させる少しユーモラスなものもあります。

「冬のきんとん」冬は白い雪をイメージした白いものが多いです。真っ白に包んだきんとんもあれば少しアクセントにピンクを加えたものもあります。最近ではクリスマスをイメージして緑色をベースとしてピンクや黄色の飾り付けのようにしたものもあります。

まとめ

きんとんは季節の趣を色で表現する和菓子です。和菓子屋さんで上生菓子の詰め合わせとなるとこのきんとんが入っていることが多く、その購入した時の季節に合わせた色遣いになっていることでしょう。こういった和菓子の色で季節の趣を表現するということはどこか控え目な日本人らしさを感じるところでもあります。