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和菓子の練り菓子とは
和菓子の中で練り菓子といわれるものは、練り切り、こなし、求肥、雲平などが主になりますが、和菓子の分類は非常に難しいと言われています。一般的に練り菓子は、餡に力を繰り返し加え、粘土状に仕上げたものを言います。和菓子の中で生菓子と言われている和菓子は、殆どが練り菓子になります。練り切りは、生菓子の最高級の上生菓子です。白餡に砂糖と山芋やつくね芋、求肥などのつなぎを練り込んで、着色して造形したものが練り切りです。茶道などではお馴染みの和菓子になりますね。こなしは、京都独自の素材です。こし餡に薯蕷粉(じょうよこ)または小麦粉を混ぜて、強く蒸して砂糖を加えて揉み込んだものです。練り切りとこなしは似ているように思いますが、蒸すという作業工程が大きな違いでしょう。粘り気が少なく、練り切りよりさらりとした味わいです。細工がしやすい特徴があります。求肥は白玉粉や餅粉を水でといて、砂糖や水飴を加えて練ったものです。求肥には水練り、茹で練り、蒸し練りの3種類の製法があります。つなぎとしても使われています。雲平は砂糖にみじん粉を混ぜ、ぬるま湯を少量落とし、練って着色後に造形していきます。雲平は工芸菓子的な要素もあり、工芸菓子は別名飾り菓子とも言います。工芸菓子の始まりは、江戸時代に大奥への献上菓子が始まりとされています。
練り菓子の言葉の由来と和菓子
練り菓子の「こなし」と「求肥」には言葉の由来がありますので、ご紹介します。「こなし」は、京都の言葉で、砕いて軟らかくすることや、思うままに扱うと言った意味があります。京菓子ではこなしが出来て一人前などと言われています。求肥は元々、平安時代に中国から伝わったものでした。語源は「牛皮」で、牛のなめし皮の柔らかい感触が、牛皮に似ていることから呼ばれたそうです。しかし日本は仏教思想だったので、獣の肉はタブーとされており、「求肥」と表記しました。
練り菓子の求肥を使った和菓子
練り菓子の求肥を使った和菓子で有名な羽二重餅(はぶたえもち)があります。羽二重餅は餅粉を蒸して砂糖や蜂蜜を加え練った、福井県発祥の和菓子です。羽二重餅の語源は、福井県の絹織物「羽二重」からとられました。絹織物の羽二重は、柔らかくて丈夫なのに、こしがあって美しい絹織物です。その羽二重をイメージして作られた和菓子が、羽二重餅です。1847年に福井県の『錦梅堂(きんばいどう)』が作りました。『錦梅堂』は弘化4年に創業され、越前福井藩松平家の御用を務めていた老舗和菓子店です。羽二重餅は献上菓子として、歴史のある和菓子になります。『錦梅堂』では羽二重餅と餡を組み合わせた商品など、羽二重餅をベースにした商品のラインナップも豊富です。また、桃太郎でお馴染みの「きびだんご」も現在は練り菓子の求肥で作られています。元祖「きびだんご」を考案したのが、岡山県の『広栄堂』です。『広栄堂』は安政3年に創業を開始した、やはり歴史のある和菓子店です。この岡山名物になっている「きびだんご」を作る経緯は、池田藩筆頭家老だった伊木三猿斎忠澄からの依頼でした。全国に知られるようになったのが明治と言います。明治天皇にも献上した由緒ある和菓子になります。