抹茶と言えば飲んで楽しむほかに和菓子の材料としても使われる和の素材の代表格で濃い緑色とそのほろ苦さは甘い和菓子との相性も抜群です。今回は和菓子に使われる抹茶についてご紹介します。

目次

抹茶とは

そもそも抹茶がお茶を粉末にしたものですが、普通のお茶の葉を粉末にしたものは抹茶とは呼びません。普段私たちがお湯を注いで飲むお茶を粉にしたものは「粉末緑茶」と呼ばれます。

抹茶とは碾茶(てんちゃ)と呼ばれる葉を粉末にしたものです。碾茶(てんちゃ)はよしず棚などを使い茶畑を覆って、茶葉に強い日差しが当たらないようにして育てたお茶でこうすることで旨味が多い柔らかな茶葉が育ちます。こうして育てられた碾茶を石臼を使って挽くことで上質で旨味がたっぷりの抹茶ができるのです。

このように茶葉の生育に手間がかかることなどから抹茶は高価なものが多いのです。

抹茶に変色はつきもの

抹茶でお菓子を作ったことがある方ならお分かりになるでしょうが、抹茶で作ったお菓子を焼いたら色が薄くなったりきれいな緑色にならなかったり、焼きたての抹茶パウンドケーキが時間がたつごとに色が悪くなるといった経験があると思います。また、生地の状態ではきれいな緑が焼き上がると薄くなったりすることがあります。

これは抹茶特有の現象で抹茶に含まれるカテキンが酸化して色が悪くなってしまいます。最近ではクロレラという淡水性単細胞緑藻類を混ぜて色があせにくい抹茶も市販されていますが、やはり抹茶100%のものを使いたいところです。

抹茶の粒子はとても細かく、水分に溶けにくい性質があります。飲む抹茶もお湯を注いでたてるだけではダマになってしまい、口当たりが悪いものになってしまいます。そのためダマができないように茶せんでしっかりたてます。

お菓子の材料として使う場合も抹茶をそのまま混ぜようとするとしっかり混ざらずダマになり、色ムラの原因にもなります。そのため、使う時には砂糖としっかり混ぜるか、材料中の粉類と一緒に何度かふるいにかけます。砂糖は水分と混ぜると溶けるので抹茶もダマになりにくくなります。粉類と一緒にふるえば抹茶だけが極端に水分を吸うことがなくなるので材料中に均一に混ぜることができるのです。

抹茶を使った和菓子

抹茶を使った和菓子はたくさんありますが、代表的なものをご紹介します。そのひとつが茶通です。抹茶を練り込んだ鮮やかな生地であんを包んで饅頭状にしたものを鉄板に押しつけながら焼きます。抹茶の濃厚な緑と表面に香ばしい茶色の焼き色のコントラストが美しいお菓子です。

どら焼きの皮に抹茶を入れた抹茶どら焼きや、色鮮やかで風味豊かな抹茶カステラなどがあります。

焼き菓子の他にも抹茶をたっぷり溶かした濃厚なババロワは甘さ控えめでほどよい抹茶のほろ苦さと粒あんやクリームの甘さとよく合います。

和素材の代表の抹茶を使えばいつもの洋菓子も和風に変身します。クッキーや生チョコレート、デコレーションケーキなどに使うことでその鮮やかな緑色と抹茶特有の風味や苦みで新しい洋菓子が次々と生まれています。また、海外に目を向けるとお茶は日本の象徴の飲み物であるイメージがあるため、観光客には抹茶を使ったお菓子のお土産が好んで購入されます。