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和菓子で感じる四季

四季のある日本では、古くから四季折々の風情に親しみ心を寄せて来ました。草木の芽吹きや新緑の輝き、風の音や川のせせらぎ、紅葉の彩りとやがて雪景色が見られます。そのような季節感を和菓子は最も良く表現しています。季節を感じることの出来る和菓子が、お茶会などに用いられるのが納得できますね。五感で味わう和菓子は、日本人の雅な心を表しています。

四季の和菓子(春)

新春は松竹梅や日の出といった、お目出たいものから和菓子は始まります。椿や福寿草もこの時期の和菓子にはよく使われます。芽吹きの頃にはフキノトウやつくし、そして和菓子の春は柔らかな彩りが特徴です。梅と桜のピンクの花々がお目見えするのは、春ならではです。桜の葉で巻いた桜餅と、きな粉をまぶしたうぐいす餅が和菓子店に並ぶと、春の訪れを感じますね。お正月や節分、ひな祭りや端午の節句などの季節の行事も、和菓子には欠かせない風物になります。端午の節句の和菓子といえば、柏餅が挙げられます。柏餅は徳川家重の頃から武家の間で食べられるようになったと言います。柏は新葉が出ると古葉が落ちる性質があります。そんな事から、跡継ぎが絶えないようにと願い、ゲンかつぎから食べられるようになりました。

四季の和菓子(夏)

やがて新緑の美しい季節が訪れます。ツツジや牡丹、菖蒲や藤などの花が和菓子に表現されるようになります。梅雨の時期は和菓子も紫陽花が定番です。この頃から和菓子の世界でも、少しずつ涼を感じさせるような材料が使われ始めます。紫陽花に寒天を使うなどして、雨の滴を表現したりします。そして本格的な夏が到来すると、朝顔や金魚、ふくべ、七夕、うちわ、あゆ、清流などの季節感溢れるものが和菓子で表現されます。涼し気な水羊羹や葛饅頭、くずきりや水無月も冷たい夏の和菓子です。水羊羹は江戸時代から食べられていたといいます。元々羊羹は、遣唐使によって中国から日本に伝わりました。本来は字のように羊のスープだったようですが、日本では小豆に葛を入れるなどしたものが始まりで、その後改良されて現在の羊羹に辿り着きました。

四季の和菓子(秋)

栗や柿など実りの秋がやってきます。栗は様々な和菓子に使われるようになります。リンドウや桔梗、菊といった秋を代表する花をモチーフに和菓子も作られます。木々が色付き始めると、紅葉を意識した和菓子が登場して、鮮やかな美しさを和菓子でも楽しむことができます。お月見といった季節の行事や、おはぎも秋の和菓子には欠かせないものです。おはぎと言えば、おはぎとぼた餅は違うもの?と疑問に思う方がいます。実はおはぎもぼた餅も同じものになります。ただ単に春は牡丹、秋は萩と、季節の花に合わせて都合よく呼んでいるだけです。

四季の和菓子(冬)

いよいよ冬の到来が来ると、初雪や山茶花、ゆず、寒椿といった季節を感じさせる和菓子が登場します。また、冬の和菓子に「黄味時雨」があります。時雨は冬の通り雨のことで、雨上がりの雲の切れ間を表現した風情ある和菓子です。黄身餡で餡を包み、饅頭のようにして蒸し上げたものです。蒸すことで表面にヒビが入り、雲の切れ間を表現しています。何とも繊細な感性です。