和菓子せんべいの歴史

現在のような煎餅(せんべい)が食べられるようになったのは、「草加せんべい」が最初だと言われています。日本で最古のせんべいは、日光街道の宿場町だった草加宿で団子屋をしていた「おせん」という者が、侍に「団子を平らにして焼いたらどうか」と言われたのが最初で、名前の由来でもあるようです。この草加宿近辺の農家では、堅餅(蒸した米を潰して丸くし、干した物)に塩をして焼いておやつに食べていたといいます。これを旅人にも売ったところ、各地に広まりました。その後、醤油味のせんべいも作られるようになり、本格的に普及したのは江戸時代でした。余り米で作るせんべいは、下級の食べ物という意識が強かったようです。

せんべいの材料と和菓子

一般的なせんべいは、うるち米で作られています。うるち米には堅さを決めるアミロースと、粘りを決めるアミロペクチンが含まれています。一方もち米に含まれているのは、ほぼアミロペクチンだけになります。そのため、せんべいに必要な堅さが出ません。そこで殆どのせんべいは、うるち米が使われているという訳です。しかし、「あられ」や「おかき」「あげ餅」のようなソフトで口の中で溶けるようなせんべいは、もち米が使われています。また、「南部せんべい」や「瓦せんべい」「炭酸せんべい」などは、小麦粉から作られています。お米で作っているせんべいに比較すると、甘くクッキーなどに近い食感になります。和菓子らしいのは、お茶席などに干菓子として使われる麩焼煎餅です。そのままでは味気ない麩焼煎餅も、季節の絵柄が入ることによって、上品な雰囲気を醸し出します。

和菓子せんべいの栄養価と魅力

主にうるち米やもち米を材料としているせんべい。お米は加熱することでデンプンが糊化します。せんべいは更に焼いて加熱するため、2度糊化されることになり、消化吸収が良くなります。また、堅いせんべいはよく噛むため、唾液の分泌を促し顎の筋肉も発達させます。甘い和菓子が多い中、せんべいは虫歯予防にもなり、咀嚼によって歯を強くします。そして意外に栄養価が高いのがせんべいです。他の和菓子は甘くカロリーが高いものが多いですが、お米を材料としているせんべいは、たんぱく質や炭水化物、カルシウムやミネラルなども含まれています。ケーキなどの洋菓子に比較すると、かなりカロリーも低く、脂質も少ないのでダイエットを気にする方にも安心といえるでしょう。

全国各地の和菓子せんべい

日本全国には、地域に根付いた有名なせんべいがあります。そんなせんべいをご紹介します。

・ぬれせんべい

せんべいを焼いた直後に、熱い状態で醤油に漬けるので、しっとりした食感になります。銚子の『柏屋』2代目横山雄次氏が考案しました。1963年に商品化し、ぬれせんべいは『柏屋』の登録商標です。

・南部せんべい

青森県・岩手県地域の名物です。元々は旧八戸藩地域の伝承せんべいでした。小麦粉を材料にしたせんべいで、ゴマやクルミ、ピーナツなど他にも種類が豊富です。せんべいの周りに薄いカリッとしたミミがあるのが特徴。

・生姜せんべい

鳥取県東部に江戸時代から伝わると言われています。鳥取の民芸活動家吉田璋也氏が、鳥取砂丘にうっすら積もった雪をイメージしたそうです。生姜せんべいは金沢の「柴舟」も有名。小麦粉を材料として、引蜜(生姜汁と糖蜜の配合)を丁寧に重ねていきます。

・からから煎餅

山形県庄内地方の伝統菓子です。材料は小麦粉と黒砂糖。三角に折り畳んだせんべいの中に、郷土玩具が入っています。せんべいを振るとカラカラと音がします。

・炭酸せんべい

兵庫県の有馬温泉、宝塚温泉、城崎温泉の名産になります。この地域の名物を作ろうと、炭酸泉水を使ったせんべいが昭和40年に誕生しました。表面には焼き型の模様が入っていて、クリームをサンドしたものもあります。

その他にも全国各地に名物せんべいがあります。せんべいは和菓子のイメージが弱いですが、逆に言うと一番身近な和菓子であるとも言えますね。