和菓子の夏は涼と透明感

四季を味わうことの出来るのが日本の和菓子です。暑い夏にも、和菓子が五感で涼しさをもたらしてくれます。上生菓子の練り切りも、餡に葛や寒天を加えるなどして、目にも涼し気な透明感のある和菓子が多くなります。寒天は海藻の天草から作られますが、和菓子では特に糸寒天というものを使います。寒天には大きく分けて粉寒天、角寒天、糸寒天の3種類があります。粉寒天はオゴノリという海藻から作られている粉状の寒天です。角寒天はオゴノリと天草からできており、乾燥した四角い細長いスポンジ状になっています。そして糸寒天は天草だけで作られていて、乾燥したひも状になっています。和菓子で使う寒天は純度の高いものということがわかりますね。天草の寒天は、しっかりとした歯触りを感じることができるのが特徴です。和菓子では、この糸寒天を使用して錦玉(ぎんぎょく)を作ります。夏の和菓子を表現する上で、錦玉は必要なものになっています。さらに、色合いもそれまでの温かみのある色から、ブルーや水色、淡い緑などが主流となって、水辺などを意識しています。夏をモチーフにした造形で、金魚や流水、鮎、花火、天の川などの、日本の夏の風物詩などが模られます。

夏の和菓子の定番

日本には古くから愛されている、夏の和菓子があります。冷やしていただく定番の和菓子をご紹介します。

・水ようかん

やはり夏の和菓子といったら、1番に思い浮かぶのが水ようかんではないでしょうか。小豆と砂糖で作った餡と、寒天に水というシンプルな和菓子です。シンプルなだけに、水の美味しさが勝負とも言われています。京都などでは竹に入った水ようかんがあります。

・葛饅頭(くずまんじゅう)

ぷるぷるとした柔らかい食感で、餡を葛で包んでいる和菓子です。水饅頭や水仙饅頭と言われることもあります。夏に冷たくして食べると格別の味の和菓子です。葛は秋に七草にもなっており、根から採れる葛粉が和菓子の材料になります。特に奈良県吉野で採れる吉野葛が最高級品とされています。

・葛切り

同じく葛を使った夏の和菓子です。細長く麺状に切って、黒蜜をかけていただきます。特に関西ではポピュラーな和菓子です。元々葛は体を温める効果があり、病気の際の葛湯として民間療法にも使われています。

・水無月(みなづき)

京都の夏の行事に「夏越祓(なごしのはらえ)」というものがあります。この日は毎年「水無月」を食べて、無病息災を祈るということです。神社の鳥居には大きな輪が用意されます。水無月は京都の夏には欠かせない和菓子になります。

夏の和菓子に笹の葉を使う理由

夏の和菓子には、よく笹の葉が使われています。青々とした笹が、単なる飾りという意味だけではありません。1年中を通してみても、粽(ちまき)や笹団子などにも使用されています。笹の香りを楽しむという理由もありますが、笹の持つ殺菌力を利用しているからなのです。特に食中毒の多い夏場に、笹の持つ殺菌力の働きが役に立ちます。日本で笹は、同じ食中毒防止の理由で寿司店でもよく使われています。防腐効果もあるので、古い時代にはおにきりを竹の皮に包んでいました。先人の知恵が、現代の和菓子にも受け継がれているということですね。