春を感じる定番の和菓子「うぐいす餅」

春が近づくと、和菓子店に真っ先に並ぶのが桜餅やうぐいす餅です。そんな和菓子を見ると、春の訪れを感じる方も多いでしょう。うぐいす餅というと、餡を求肥で包んでうぐいす粉をまぶし、うぐいすを模ったもので、誰もが知る和菓子です。このうぐいす餅の由来は、豊臣秀吉の弟である豊臣秀長が、兄を郡山城に招いた際、御用菓子司であった菊屋治兵衛に「珍菓を造れ」と命じました。菊屋治兵衛は餅を作って献上しました。豊臣秀吉は大層その餅を気に入り、「以来この餅を鶯餅と名付けよ」と言ったのが菓銘の由来と言われています。現在も『菊屋』として代々暖簾を守っており、和菓子店の場所も変わらず同じ城の入口で営業しています。豊臣秀吉に献上した和菓子も、当時と同じ製法で今もなお作られています。ただ菓子銘は「御城の口餅」に変わっているようです。一般的なうぐいす餅が求肥で作っているのに対し、『菊屋』は当時と同じ餅で作られています。きな粉も黄緑色をしたうぐいす粉ではなく、普通のきな粉を使っているのが特徴です。無添加で作られ、昔ながらの変わらない味です。豊臣秀吉が舌鼓を打ったうぐいす餅を食べてみたいものですね。

ひな祭りには春の和菓子「桜餅」

うぐいす餅に並んで春の定番の和菓子といったら桜餅でしょう。桜餅は皆さんご存知の、桜の葉の塩漬けで包んだピンク色の和菓子です。しかし、桜餅には長命寺と道明寺の2つのタイプがあることをご存知でしょうか。長命寺は関東発祥の桜餅の別名です。小麦粉の生地を用いて皮を作り、餡はこし餡なのが特徴です。皮は2つ折りや円筒型があります。さらに皮を桜の葉の塩漬けで包んでいます。発祥は江戸時代に、東京の向島にある長命寺の門番であった山本新六が、門前で和菓子店山本屋を創業し作られたと言います。当初は桜の葉はしょうゆ漬だったようです。一方、道明寺は道明寺粉を蒸して餅を作り、中に餡を入れて桜の葉の塩漬けで包んでいます。餅がツブツブしているのが特徴です。道明寺の発祥は、大阪府藤井寺市にある道明寺の尼が、乾燥した糒を挽いて粉にしたのが始まりと言われています。長命寺は主に東日本を中心に、道明寺は西日本を中心に作られています。桜餅に2つのタイプがあることは、意外に知られていない事実ではないでしょうか。さて、ひな祭りに桜餅が食べられる由来ですが、これに関しては特にありません。ひな祭りに桜餅を食べるようになったのは、昭和に入ってからと言います。ピンク色がひな祭りをイメージするからという、単純な理由だったようです。余談になりますが、ひな祭りと言えば他に菱餅があります。最近は飾り物的な要素が強くなって、余り食べることがなくなりました。一般的にはピンク、白、緑の3色を菱形に切って重ねて作ります。このような菱形になったのは江戸時代からといいます。ピンクは山椒の実で色付けし、厄を払い健康を祈ったそうです。また桃の花を表現していました。白は菱の実を入れており、長寿を祈願したなどと言われています。緑は当初は母子草を使っていましたが、母と子を餅でつくのは縁起が悪いと、ヨモギを入れて春の若草にたとえました。桜餅にしても菱餅にしても、桃やひな祭りをイメージさせる美味しい和菓子です。