和菓子の箱のルーツ

和菓子が庶民の間にも浸透した江戸時代、人々の間に贈答文化が発展しました。当時甘味は最高の贈り物とされており、「嘉定菓子」の影響でさらに和菓子は身近なものになりました。贈答といっても、現代のような包装技術はありませんでした。当時は竹の皮を使い、団子や餅、羊羹などを包んでいたと言います。竹の皮には殺菌作用がある為、防腐効果が期待出来ました。よって、現代のような和菓子を箱に入れるといったことは有りませんでした。しかし、献上菓子などは重箱に入れて納められていたようです。老舗の和菓子店『虎屋』に今も残っている、当時の五段重ねの重箱などがあります。それらの箱は運搬用に使われていたと言います。江戸時代に武家や大名の間では、漆製や蒔絵の豪華な重箱も使われていました。重箱は元々和菓子を入れておくものでしたが、やがて狩りなどに行く際に、食事を入れる弁当箱として使われるようになりました。明治になってから紙業や印刷機の発展で箱も作られるようになり、お土産品の発達で次第に和菓子箱の需要が求められました。

現代の和菓子の箱

現代の和菓子の箱は、実に多種多様です。その和菓子店の個性が表れています。京都の和菓子店『塩芳軒(しおよしけん)』の「千代たんす」は非常に美しい箱です。鹿の子の3段の箪笥の中に、上品な和菓子が入っています。食べ終わった後も捨てずに取っておきたい箱です。同じく京都の『亀末廣』の「京のよすが」は、秋田杉で作られた木箱に美しく干菓子や有平糖が詰められています。高級感がある箱です。小箱サイズもあり、そちらは六角形の紙箱に同じように雅な和菓子が入っています。嬉しいのが、「京のよすが」は季節によって中身が変わります。季節を変えてリピートしたい和菓子です。東京の『菊廼舎』の「冨貴寄」は、箱の材質は缶になりますが、30種類の干菓子が詰められた楽しい箱です。六角形の紙箱や125周年記念の「江戸の粋五代目」は瓶に干菓子を詰めたお洒落な和菓子です。和菓子が瓶に入っているなんて、発想が面白い和菓子箱です。それでいて外箱は黒の重厚な趣きがあります。そんな意外性が驚く箱です。岐阜県にある『川上屋』は、栗を使った和菓子で有名です。『川上屋』の箱は、限定数量からの特別注文で、越前手染め友禅和紙の、千代紙で作った箱に和菓子を入れてくれます。特別感がある箱です。また、金沢の『まめや金沢萬久』では、店名にちなんだ豆形をした箱がユニークです。箱の絵付けは「型紙摺り」の技法で、手書きにより描かれています。季節ごとに様々な絵付けがあります。全種類欲しくなってしまう箱ですね。そして博多の『鈴懸』は籠の菓子箱になります。5月~9月は白、10月~4月は黒とカラーまで変える拘りようです。和菓子が引き立つ籠の箱です。こんな箱で贈り物されたら嬉しいですね。さらに、会津の和菓子店『長門屋』の人気和菓子「香木実」の贈答用の箱は、何と桐でできています。掛かっている紐は真田紐という格式のある箱です。和菓子に桐の箱はあまりないので、喜びの席などに是非とも使いたい和菓子ですね。まだまだ全国には素敵な和菓子の箱があります。和菓子の味もさることながら、和菓子の箱にも個性が感じられる現代の和菓子たちです。