和菓子の干菓子とは

生菓子に対し、水分の少ない乾いた和菓子のことを干菓子と言います。和菓子を分類する場合は、通常水分が10%以下の和菓子を干菓子と呼んでいます。干菓子は大きく分類して、落雁や和三盆などの「打ち物」、塩がまやむらさめといった「押し物」、おこしや砂糖漬けの「掛け物」、煎餅などの「焼き物」、そして有平糖などの「あめ物」があります。干菓子というと何となくイメージが湧きませんが、煎餅などは最も身近なお茶の間の干菓子ですね。今では全国各地の煎餅が食べられるようになりました。金平糖や甘納豆も干菓子の仲間になります。金平糖がポルトガルから伝来されたことは、ご存知の方も多いと思います。ポルトガル語ではconfeito(コンフェイト)ですが、日本では古くには金米糖(こんべいとう)と呼ばれ、現在は「こんぺいとう」に定着していますね。様々な干菓子の種類がありますが、干菓子と言うと、茶の湯で使う和菓子が頭に浮かぶ方が、一番多いのではないでしょうか。次は茶の湯で使われる干菓子について、詳しくお伝えします。

和菓子・茶道の干菓子

茶道では濃茶に主菓子を、薄茶に干菓子を使います。茶道で使われる干菓子は、季節感を表現した和菓子が殆どになります。特に高級とされているのが和三盆です。竹糖から作られた和三盆は、口に入れるとスッと溶けてなくなる上品な味です。季節の風物詩や古典的な模様などが象られた木型で、作り出される和三盆は芸術品です。これは「打ち物」という製法で、和三盆糖に少量の水と蜂蜜などを混ぜ、木型に押入れて型から打ち出します。その他に茶会では、季節によって雛あられのような掛け物が使われることもあります。麩焼煎餅もよく使われる干菓子です。季節の絵柄が書いてあり、とても風情があるのが特徴。茶会では干菓子の場合、菓子器に数種類の和菓子を盛り、一期一会を楽しみます。その理由は、薄茶は1服に限らず数服飲むことが可能だからです。一般に言う、お替りが自由ということになりますね。そのため、2服目3服目と違う干菓子を味わってもらうという、亭主(招いた方)の心遣いがあります。実際には2服目を所望しても、遠慮して3服目まで所望するとは思えませんが、どうでしょうか。

干菓子を作る拘りの和菓子店

京都にある『亀屋伊織』は、お茶席の干菓子を専門に作っている和菓子店です。その歴史も古く、創業から400余年になるといいます。徳川家光に献上した「木の葉」という和菓子が気に入られ、「伊織」の名を授かったそうです。決して大きな店構えではありませんが、『亀屋伊織』の技術と干菓子作りに対する精神が、素晴らしい和菓子店です。店主は茶の湯ではお茶が主役で、菓子は添えであると言います。干菓子は濃茶の後の薄茶の和菓子ですから、軽やかに仕上げるのが重要なことで、雰囲気に自然に溶け込むことが肝要と言います。そのような意識で作られる干菓子は、主張せずシンプルでありながら非常に上品です。有平糖の細工も見事な職人技で見とれてしまいます。『亀屋伊織』の干菓子は全て予約注文になります。店頭には和菓子は並ばず、予約だけで一杯で手が回らないと言います。『亀屋伊織』は、茶道の三千家(表千家、裏千家、武者小路千家)からも支持されている和菓子店です。お土産品の干菓子とはひと味違った、お茶席のためだけの干菓子を、五感で味わってみたいものです。