自宅にある小麦粉やそば粉、はったい粉などを使った素朴で簡単な郷土のおやつを御紹介します。

小麦粉で作る簡単なおやつ

西日本を中心に最も広く作られた小麦粉のおやつは「ふな焼き」です。近江地方と福岡の筑後地方はこの名ですが、地域によってへこ焼きやへか焼き、中部・東海地方では薄焼きの名で呼ばれて同じものが食べられています。昔はほうろくという鍋で焼いていて、鍋の底が船の形に似ていることからその名がつきましたが、現在はフライパンなどで良いでしょう。刻んだ黒糖をのせて熱さで溶けたものを二つ折りにして巻いてみたり、ジャムなどをのせてもよく合います。小麦粉を水で溶いて黒糖を混ぜ、油をひいて薄く焼いた沖縄の「チンビン」も、「ふな焼き」に似たおやつです。
九州では小麦粉を水で捏ね寝かせた生地を鍋に入れて煮込んだ「だご汁」を日常的に食べますが、これは山梨の「ほうとう」にも似ています。だごの生地が残ると引き伸ばして茹でて黒糖やきな粉にまぶして食べます。餅の代わりにぜんざいに入れれば「小豆だご」、山梨のほうとうなら「小豆ぼうとう」になります。
饅頭の生地もだごの生地から生まれたもので、福岡・八女地方の「じゃがいもまんじゅう」や「里芋まんじゅう」は、茹でたじゃがいもや里芋をだごの生地で包んで蒸したものです。長野の「おやき」は小麦粉の生地で餡を包みますが、餡は小豆だけではなく、野沢菜漬けや煮物など何でも包んで種類豊富です。
饅頭は通常は中に餡を包みますが、餡を包まず、生地に混ぜて蒸すものがあり、代表的なものはさつまいもやじゃがいもを小さく切ったものが入った蒸しパンです。伊勢ではひとつずつ丸めて作り「鬼まんじゅう」と呼ばれていますが、地方によって「かみなりだんご」「石垣まんじゅう」などとも呼ばれます。

小麦粉で作るいも蒸しパンの作り方

【材料】
さつまいも…400グラム
小麦粉…300グラム
砂糖…80グラム
甘酒または水…1カップ
バター…50グラム

【作り方】
1.さつまいもは洗って1センチ角に切り、10分ほど水に晒してザルに上げます。
2.バターを熱して溶かしておきます。
3.ボウルに1と2と小麦粉、砂糖、甘酒を入れてヘラでよく混ぜます。
4.蒸し器に濡れ布巾を敷いて、蒸気が上がってきたら3を流し入れ、25~30分蒸します。
5.粗熱が取れたら食べやすい大きさに切ります。

はったい粉で作る簡単おやつ

はったい粉は炒った大麦を粉にしたもので、別名を麦こがしといいます。福岡・筑後地方では、はったい粉に黒糖を混ぜたものを「こうせん」と呼び、椿の葉ですくって食べる習わしがありました。こうせんは口に入れると話ができませんが、うっかり喋ると粉が顔一面に吹き飛んでしまうため、子どもたちに「人の悪口を言わないように」と戒めて食べさせました。福島・会津では渋柿の皮を干して、炒った麦と挽いたものを、「こうせん」といい、おやつにはお茶で練って食べました。京都・丹波地方の「熟ばったい」は熟し過ぎたた柿のヘタをくり抜き、はったい粉を入れて混ぜて食べるおやつです。はったい粉が食べやすくなること、また、はったい粉が入ることで腹持ちも良くなることなど、先人の知恵が光るおやつといえるでしょう。

そば粉で作る簡単おやつ

そばはやせた土地でもよく育つので、米や小麦が作れない地域や寒冷地では、そば粉を使ったおやつが多くあります。そば粉に熱湯を注ぎながら箸でかき混ぜるだけの「そばがぎ」は、砂糖醤油やきなこを付けたり、お餅の代わりにおしるこに入れたり、おやつにも大活躍です。信州などの「けえもち」は、里芋やさつまいもを茹でたり蒸したりして熱いうちに搗き崩し、そば粉を加えて混ぜ丸めます。生地に甘みは加えず、焼いて醤油や砂糖をつけて食べます。

そば粉で作るけえもちの作り方

【材料】
さつまいも…300グラム
里芋…300グラム
そば粉…100グラム

【作り方】
1.さつまいもと里芋の皮を剥き、乱切りにして塩茹でします。
2.竹串がスッと通ったら茹で汁を捨て、そば粉を振り入れながら擦りこ木でいもを潰します。
3.へらで混ぜ、粗熱が取れたら手で丸めます。
4.網で焼いて砂糖醤油などをつけて頂きます