日本全国どの地域にも、その土地ならではのおやつがあります。身近な食材でシンプルに、様々な工夫をもとに作られてきた日本のおやつには、先人の知恵と、何よりも家族の健康を願う温かい心が感じられます。
お店で買う和菓子だけが和菓子にはあらず、素朴でありながら滋味深い日本のおやつの数々を素材別に御紹介しながら、和菓子の世界により深く親しんでまいりたいと思います。
まずは戦中戦後の食糧難時代の日本を救ったいもやかぼちゃのおやつを御紹介します。

さつまいもで作る人気のおやつ

さつまいもは特に西日本で活躍しました。蒸して搗き崩し、砂糖を加えて甘い「いもあん」を作れば、小豆あんの代わりにぼた餅や饅頭に活用できますし、ぜんざいの小豆を減らして小さく切ったさつまいもを加えれば、砂糖や小豆の節約になります。餅米やうるち米にさつまいもを加えて炊いたものを擦りこ木で搗いて餅状に丸め、きな粉と砂糖をまぶした九州の「ねったぼ」なども、いもの甘さを利用しながら節米にも繋がるおやつです。さつまいもはそのまま食べるだけではなく、生のいもを干して粉にすれば、小麦粉と同様に使うことができ、饅頭の皮にしたり、練って打って茹でれば麺にもなります。
茹でて干した「かんころ(干しいも)」は、干すことで甘みが増し、そのままでも焼いても美味しく頂けるおやつです。餅に搗き込んで「かんころ餅」にすれば保存食にもなりますし、油で揚げて煎餅にもなります。
工夫をすればおやつにもおかずにも様々な使い方ができるさつまいもは、郷土のおやつの代表的な素材といえるでしょう。

さつまいもで作るいもあんぼたもちの作り方

【材料】15個分
さつまいも…500グラム
砂糖…200グラム(お好みで調節)
塩< …少々
米…5カップ(うるち米 7:もち米3)
水…米の1.1倍

【作り方】
1.さつまいも餡をを作る。さつまいもは洗って皮を剥いて柔らかくなるまで蒸し、熱いうちに潰して砂糖と塩を加えます。
2.粗熱が取れたら、15個の餡玉を作ります。
3.ごはんを炊いたら熱いうちに擦りこ木で半殺し状に搗きます。
4.粗熱が取れたら、15等分して丸めます。
5.ぬれぶきんかラップを片手に乗せ、さつまいも餡を広げて丸めたごはんを包みます。いもあんはぼた餅以外にも、クレープの生地で巻いたり、餅に絡めたり、小豆あんと同様に使えます。

じゃがいもで作る人気のおやつ

じゃがいもは主に東北や北海道で活躍しました。冷害に強く手間もかからないので、寒冷地では主食、おかず、おやつと幅広く利用されてきました。さつまいものような甘みがなく、淡白な味のじゃがいもからは、さつまいもとはまた違った料理が生まれています。
最も有名なのは「いも餅」で、茹でたじゃがいもに片栗粉(じゃがいもでんぷん)を加え丸めて焼いたものです。
塩茹でした粉ふきいもを擦りこ木で搗いて黒蜜をかける「どったら」、西瓜をすりおろしたものを煮詰めた西瓜糖を、茹でたり蒸したりしたじゃがいもにつけて食べる富山県のおやつなど、じゃがいもはさつまいものような甘味がないため、食べる時に甘みをかけたり、生地に甘みを加えるものが多く見られます。

じゃがいもで作るいも餅の作り方

【材料】
じゃがいも…400グラム
片栗粉…80グラム
バター

【作り方】
1.じゃがいもの皮を剥き、適当な大きさに切って茹でます。
2.柔らかくなったら湯を捨て、鍋の水分を飛ばして粉ふきいもを作ります。
3.熱いうちにつぶして片栗粉を振り入れながらよく混ぜ、よく捏ねます。
4.平たい丸型に作って、弱火のフライパンでじっくり焼き、仕上げにバターを加えて風味付けします。
5.醤油などをつけて頂きます。

里いもで作る人気のおやつ

里芋は主に西日本で活躍しました。福岡には、蒸した里芋を潰し砂糖を加えて甘納豆を混ぜた「里芋きんとん」がありますが、里芋のぬめりを生かした口当たりの良いおやつです。また、蒸した里芋を潰してよく擦り蜂蜜などで甘みを加えたものを、柿やりんごなどの果物と和える料理もあります。里芋を擦る時に日本酒を加えると生クリームのように白く滑らかな和え衣になります。

里いもで作る里いもきんとんの作り方

【材料】
里芋…5個
甘納豆…適宜
砂糖…大さじ1杯
塩…少々
薄口しょうゆ…小さじ1杯

【作り方】
1.里芋は洗って皮つきのまま茹でます。
2.柔らかくなったらザルに上げ、熱いうちに布巾で包んで皮を剥きます。
3.すり鉢の中に2を入れ、擦りこ木で滑らかになるまで搗き崩します。
4.砂糖、塩、薄口しょうゆを3に加えて混ぜ、最後に甘納豆を混ぜ合わせます。

かぼちゃで作る人気のおやつ

かぼちゃはじゃがいもと共に寒冷地で多く食べられてきましたが、日本在来のかぼちゃは今の西洋かぼちゃと違って甘味が少なく水分の多いものでした。中には北海道の「まさかりかぼちゃ」のように甘味が強く水分が少ないかぼちゃもあり、さつまいもなどと同様に様々な料理に活用できましたが、殆どの日本かぼちゃは甘味が少なく、そのため茹でて水飴やきな粉をかけて頂くのが定番でした。

かぼちゃで作る茹でかぼちゃの作り方

【材料】
かぼちゃ…適量
水飴、きな粉、砂糖…適量

【作り方】
1.かぼちゃは二つ割にして種を取り、皮を剥かずに食べやすい大きさに切ります。
2.柔らかくなるまで茹でてザルに上げます。
3.食べる時に水飴や砂糖を加えたきな粉をかけて頂きます。