「九里四里旨い十三里」という言葉がありますが、これはさつまいもは栗よりうまいという、焼き芋屋さんがよく使う駄洒落です。栄養豊富で繁殖力が強く、戦後や関東大震災などの食糧難の時代に日本人の命を救ったとされるさつまいもは、和菓子の素材としても大活躍です。
庶民的で誰からも愛されるさつまいもの代表的な産地と和菓子に適した品種、さつまいもを使った和菓子、時代を超えて好まれる大学芋の作り方を御紹介します。

さつまいもの有名な産地と品種

さつまいもは中南米原産とされています。その後ヨーロッパに伝わり、フィリピン経由で中国に入って琉球、薩摩と北上し、江戸中期に日本各地へ普及しました。複雑なルートを辿って広まったため、さつまいもには甘藷、唐芋、琉球芋などいくつかの別名があります。
主成分はでんぷんですが、食物繊維が多く含まれ、ビタミン・ミネラルも豊富です。栗と同じくビタミンはでんぷんに包まれているため加熱しても壊れません。
さつまいもは主に薩摩地方(現在の鹿児島県)で栽培されていため、その名がつきました。鹿児島県は現在も日本一の生産量を誇り、茨城県、千葉県、宮崎県と続きます。また、さつまいもの産地として名高い埼玉県川越市では、小江戸と呼ばれる情緒漂う街並みに、さつまいも菓子の専門店が並びます。
さつまいもにはたくさんの品種がありますが、菓子に適したものとして、関東地方では甘みが強く繊維が少ない紅あずま、関西地方では粉質で糖度が高く、ねっとり感のある高系14号が挙げられます。また、中が紫色の紫芋も、その彩りの鮮やかさから多くのさつまいも菓子に使われています。

さつまいもを使った和菓子

さつまいもを使った和菓子として名高いのは芋ようかんです。さつまいもと砂糖と少量の塩のみで作りますが、その分、厳選した素材と丁寧な工程が求められます。
また、素朴な芋菓子として芋けんぴや大学芋はおやつとしても広く親しまれており、さつまいもを薄くスライスして焼くか揚げるかしたものに糖蜜を絡めた芋煎餅や、甘く煮たさつまいもを干して砂糖を絡めた芋甘納豆などの定番和菓子も豊富です。
さつまいもは全国各地で作られているため、その土地ならではの郷土菓子も多く、愛知県などの東海地方では小麦粉(上新粉)と砂糖で作った饅頭生地にさつまいもの角切りをのせて蒸し上げた「鬼饅頭」、熊本ではさつまいもの上に小豆あんをのせたものを団子生地で包んで蒸した「いきなり団子」、鹿児島ではそば粉とさつまいもで作っただんごを蒸した「そまげ」など、どれも地元で愛される庶民的なおやつです。

大学芋の作り方

大学芋の名前の由来は大正初期から昭和にかけて東京神田の学生街で大学生が好んで食べていたという説や、昭和初期に大学生が学費を捻出するためにこれを作って売っていたという説があります。

【材料】
さつまいも…2本(500g)
砂糖…大さじ6
しょうゆ…大さじ11/2
酒…小さじ1
黒ごま…適宜
揚げ油

【作り方】
1.さつまいもは皮付きのまま乱切りにして水にさらしアクを抜きます。ザルにあげて水を切ります。
2.180度に熱した油に水気を拭き取ったさつまいもを入れ火を通します。途中で火を弱めて、いもの切り口が黄金色になったら強火にしてカラッと揚げます。
3.砂糖としょうゆと酒を鍋に入れて火にかけ、泡立ってきたら鍋を揺すりながら暫く煮詰め、2を入れて火を止めます。
4.さつまいもに手早く3を絡め、仕上げに黒ごまをふって出来上がりです。