秋の味覚を代表する栗は、そのこっくりとした甘さと愛らしい佇まいで、日本人に最も好まれる和菓子の素材のひとつです。
実りの秋、和菓子店の店頭には一斉に栗菓子が並びますが、その栗菓子に使われる栗の主な産地と品種、栗菓子の種類、基本となる栗の甘露煮の作り方を御紹介します。

栗の有名な産地と品種

栗は大きく分けて、和栗、西洋栗、アメリカ栗、中国栗の四つに分類されますが、中でも和栗は外国の栗に比べて大粒で香りが良く色が美しいのが特徴です。
主成分はデンプンですがビタミンやミネラル類も豊富に含まれ、一般的には熱に弱いとされるビタミンCもデンプンに包まれているため加熱しても壊れません。
このように栄養豊富な栗は、縄文時代の昔から日本人の食糧として栽培されており、今も日本中で作られています。中でも兵庫県(京都府)の丹波は栗栽培の歴史が最も古い上に質も良く、丹波栗として広く栗菓子に利用されています。同じく長野県小布施町も弘法大師が全国行脚の途中で立ち寄った際に栗を植えたとの説もある程の長い歴史を誇り、町内には数多くの栗菓子専門店が軒を連ねます。
また、埼玉の日高、岐阜の恵那、生産量が日本で一位の茨城、二位の熊本などが代表的な産地です。
国内で多く生産されている和栗の品種ベスト5は、筑波、丹沢、銀寄、利平、石鎚の順で、中でも銀寄は粒も大きく上品な甘さと風味があり、栗菓子を作る上で最も代表的な品種と言えます。

栗菓子の種類

昔から栗は縁起の良い食べ物とされ、鬼皮を剥いて乾燥させた「かち栗」は、勝ちに繋がることから戦国時代などの出陣や祝いの宴に欠かせないものでした。また、おせち料理の定番である栗きんとんも、きんとん(金団)は金の布団を意味するとして金運を呼ぶ食べ物とされてきました。
おせち料理の栗きんとんは、さつまいもで作った滑らかな餡に栗の甘露煮を絡めたものですが、加熱した栗と砂糖を練ったものを茶巾絞りにした栗菓子も栗きんとんと呼ばれ、多くの店で製品化されています。
また、栗餡で作られたきんつばや羊羹、最中、甘納豆などのほか、栗の甘露煮を小豆の羊羹の上にのせて蒸した栗蒸し羊羹のように、栗の実を丸ごと使用した最中や栗鹿の子なども非常に好まれる栗菓子です。

栗の甘露煮の作り方

栗きんとんや栗鹿の子にも使える栗の甘露煮は、清潔な瓶に入れて冷蔵庫で保存すれば1ヶ月は食べられます。

【材料】
栗…500g
三温糖…160g
くちなしの実(なくても良い)…1個
重曹…小さじ半杯

【作り方】
1.熱湯を入れたボウルに栗を浸して、鬼皮が柔らかくなるまで半日ほど置いたら、渋皮ごと綺麗に剥きます。
2.鍋に1を入れ、かぶる程度の水を加え、そこに重曹小さじ半杯を加えて弱火にかけます。沸騰してから更に15分間茹でます。
3.茹で水が透き通るまで2~3回茹でこぼします。栗を美しい黄色に仕上げたい時は、くちなしの実を水か酒で戻し、ガーゼに包んで茹で水に入れます。
4.3に砂糖を3~4回に分けて加えます。その都度弱火にかけ、一煮立ちさせたら火を止めて冷まします。これを繰り返しながら徐々に蜜を含ませていきます。
5.清潔な保存瓶に入れて冷蔵庫で保存します。