栗を使った代表的な和菓子は、「栗きんとん」「栗まんじゅう」などがあります。和菓子の中でも比較的甘みが強く、ひとつひとつに重みと食べ応えがあるのが栗を使った和菓子の特徴です。それは栗自体のもつ甘みが強いことと、栗は栄養価が高いことからともいえるでしょう。栗の栄養を知ることで、栗の美味しさだけを楽しむのとはまたひとつ違ったワンランクアップの楽しみ方ができるかもしれません。

栗の栄養

栗は果実として分類され、クルミやピーナッツと同じ位置づけとなるナッツ類にも分類されます。ナッツと聞くと脂質が多く脂分が気になるところですが、栗はナッツ類のなかでも脂質が少ないです。

栗の主な成分はでんぷんです。でんぷんといえばじゃがいもなどの芋類に含まれていることを思い浮かべますが、栗は土の中ではなく木の実としてでんぷんを多く含むという少し珍しい食べ物です。

このほか、たんぱく質やビタミンやミネラルも豊富で、食物繊維においては、さつまいもよりも多いです。また、特に現代人に不足しているといわれている亜鉛も多く含まれています。さらに栗の渋皮には、ポリフェノールの一種である成分が含まれています。ポリフェノールはがん予防として注目を集めている成分です。このように栗は人間にとって大切な栄養源であることから、貴重な食べ物として縄文時代では主食として食べられることもありました。

栗金団とは

栗金団(くりきんとん)は、おせち料理としてよく作られます。金団の「金」は読んで字のごとく、金運や商売繁盛をもたらす縁起物としてお正月に今でも食べられています。最近では栗の甘露煮や栗を甘く煮たものとさつまいもを甘く煮て裏ごしした甘い餡を混ぜて作ることか一般的になってきています。また、クチナシを使うことで栗金団の金色がより鮮やかになります。

栗茶巾とは

栗茶巾(くりちゃきん)は、栗の茶巾絞りや栗きんとんとも呼ばれ、おせち料理で使われる栗きんとんとは別の和菓子です。栗茶巾の発祥の地といわれる岐阜県など地方によっては、栗きんとんといえば、栗茶巾のことを指すところもあります。栗本来の味を楽しむため、栗と砂糖を混ぜて茶巾と呼ばれる布巾で栗の形のように絞りあげたものです。

栗まんじゅうとは

栗まんじゅうは、見た目がまるで本物の栗のように卵黄を表面に塗って焼きあげたおまんじゅうです。栗まんじゅうの中身は白あんが使われていることが多いです。白あんに小さく切った栗を混ぜたり、丸ごと栗を入れたようなものもあり、和菓子職人のこだわりを感じます。本物の栗に近づけるために、栗の底の部分にケシの実をあしらったものもよく見かけます。

栗を使ったほかの和菓子

栗を使った和菓子はほかにも「栗ようかん」「栗ぜんざい」など、栗は色んな和菓子と相性がいいです。普段は栗の使われていない和菓子に栗が使われるようになると、秋の気配を感じることもできます。栗のように季節を感じることの出来る材料は和菓子ならではの風情を感じます。

栗は栄養が豊富であるがゆえ、カロリーも高いです。甘くておいしい栗は、和菓子特有の色彩を楽しむこともできます。ついつい食べ過ぎでしまうかもしれませんので、注意が必要です。目安として一日4~5粒を最大として食べる程度に抑えたほうが健康のためにもよいでしょう。

和菓子には栗を使って茶巾に仕上げる栗きんとんやお正月に食べる、クチナシで色づけされた黄色が鮮やかな栗きんとん、そして和菓子の技法にもきんとんとよばれるものがあります。今回はこの繊細な技術、きんとんについてご紹介します。

繊細な技術、きんとん

和菓子屋さんに並ぶお菓子の中でもとりわけ繊細な技術を使っているのがきんとんです。あんを丸めて作ったあん玉に裏ごしを使ってそぼろ状にしたあんを植えるように付けていきます。

そぼろあんを和菓子の細工用に先を細くした箸で優しくつまんであん玉に付けて行くのですが強く押し付けすぎても形が崩れてしまうので絶妙の力加減が必要です。あん玉を回しながらリズミカルに均等に仕上げるには修業が必要です。どこの菓子屋にもおいてあり、繊細な技術だからこそその菓子屋の想いが伝わるお菓子だと言われています。

細かさで様々な表情に

きんとんは専用のきんとんふるいで裏ごすことでそぼろ状にします。きんとんふるいの目の粗さを変えることで同じきんとんでも表情はがらりと変わってきます。細かければ繊細に、あらければ見た目に少し力強さが加わってきます。

きんとんふるいを使う場合、やみくもに裏ごすのではなく裏越しの四角の角に向かって垂直に裏五すと切り立ったよりきれいなきんとんを作ることができます。きんとんあんは乾きやすく、裏ごしから仕上げまで手早い作業が必要になってきます。

季節を表現するきんとん

きんとんの良さは細かさや色を変えることで季節の移ろいを表現できることにあります。例えば1月は紅と白で、左右に盛り分けておめでたい紅白梅です。春が近づき、川辺に広がる菜の花は黄色と薄緑のきんとんを混ぜて表現します。
3月までは、桃の節句になぞらえたピンクの濃淡で桃の花を表します。

5月には梅雨を表現する水色、6月は長引く梅雨のなかでけなげに咲くアジサイをピンクと紫で表現します。梅雨が明けて7月には茂る若葉を緑色で表します。
秋がくれば小豆餡で枯葉を、10月は橙色に赤色を混ぜることで進む紅葉を、茶色の栗も表現できます。冬には、白で雪が舞うクリスマス、そしてお正月には、大島黒糖と若緑で、おめでたい松をあらわします。

きんとんの作り方

【材料】
白こしあん
中あん
食用色素…好みの色
ざるなどの裏ごし(出来れば粗いもの)

先が細い箸…市販の竹箸の先をナイフなどで削り、やすりでなめらかに整えます。きんとんのほか、細かい細工ものに重宝します。

【作り方】
1.こしあんを着色します。季節に合わせた色をつけましょう。
2.着色したあんをラップなどを敷いた上でうらごします。ヘラでざるをたたくなどしてそぼろを落とします。
3.丸めたあんに細い箸を使ってそぼろを植えていきます。あん玉が隠れるように回すようにして付けて行きます。強く握るとそぼろの形が崩れるので注意しましょう。

【材料】
一色で作ったきんとんに仕上げにアクセントで他の色を入れると全体が締まります。着色の段階でしっかり混ぜずマーブル状にすることで自然なグラデーションのきんとんが出来上がります。
きんとんは乾燥しやすいので使う分だけ裏ごして手早く作業しましょう。食べるまでは乾燥しないように密閉容器に入れておきましょう。