お花見や端午の節句、和菓子の日など、春から初夏にかけては和菓子を頂く機会も多くなります。
春に手作りしたい草餅の作り方や、行事にあわせて頂きたい和菓子などを御紹介します。

花見と和菓子

春は桜の季節です。和菓子店には桜を意匠した華やかな生菓子が並び、お花見の際にもお団子などの和菓子が欠かせません。花見の歴史は古く、平安時代にはすでにあちらこちらに桜の名所があり、貴族たちは牛車を連ねて出かけていました。江戸時代になると花見は貴賎を問わず誰もが楽しめる行事となり今に至ります。満開の桜を愛でながら桜餅を頂くなら、関東は小麦粉を使った生地を焼いて餡子を包んだ長命寺、関西では道明寺粉の餅で餡子を包んだ道明寺が主流です。桜だけではなく、つつじや藤など春に咲く花や、仄かに霞んで見える春の朧月などにちなんだ和菓子も作られています。

蓬を使った手作りの草餅

この時期、是非手作りで味わって頂きたいのが蓬の葉を使った草餅です。蓬は野山や河川敷などに生える野草で、都市近郊を含め全国に広く自生しています。食用になるのは春頃に出る若芽などの葉先の柔らかい部分です。少しづつ摘んで水で洗って汚れを落とし、アク抜きと葉の色を鮮やかにするために重曹少々を入れて茹でます。蓬は繊維が固く水気を絞り過ぎると切りにくくなるため、水気を残したまま包丁で細かく刻んだ後で水気を絞ります。10個分で餅粉100グラムに砂糖20グラムと水80ccをボウルで混ぜ合わせ、蒸し器にぬれぶきんを敷き、もち粉のボウルの中身を小分けにして入れて強火で25分蒸します。蒸した餅を台にのせ、蓬の葉(茹でて刻んだものを50グラム)を加え、しゃもじで擦り込むように混ぜ合わせ、蓬が全体になじんだら一つにまとめます。10等分して小豆あんを包んだり、きな粉をまぶすなどして頂きます。春の香りが楽しめる和菓子です。

端午の節句と和菓子

五月五日は五節句のうちの「端午の節句」です。「端」は「初め」、「午」は「五」に通じ、「五月初めの五日」を意味します。古くは邪気を祓う風習でしたが、江戸時代以降は男児の節句とされました。鯉のぼりや吹き流しなどを風になびかせながら、鎧兜を飾ってお祝いします。男の子の健やかな成長を願い、邪気を祓うといわれる植物の葉で包んだ餅菓子で厄払いをしますが、関東では柏餅、関西では粽を頂くのが古くからの習わしです。

立夏と和菓子

五月六日の立夏を過ぎれば、暦の上では夏となります。気候が安定してくるので各地で種まきや茶摘みが始まります。新茶のシーズンなので、季節の和菓子と共に爽やかな香りを楽しみましょう。

梅雨と和菓子

梅雨を迎え、紫陽花が美しい季節です。日を経るに従って変化する紫陽花の色を繊細に表現したあじさいきんとんや、梅雨に入る頃から大きくなる青梅など、爽やかで涼しげな色味の和菓子が並びます。

和菓子の日

六月十六日は「和菓子の日」です。西暦848年の夏、仁明天皇が御神託に基き、六月十六日に十六の数に因んだ菓子、餅などを神前に供えて健康招福を祈誓し「嘉祥」と改元したという古例に因んでいます。その後も「嘉祥の祝」は疫を逃れ、健康招福を願うめでたい行事として歴史の中で受け継がれ、明治時代まで盛んに行われていました。この『嘉祥の日』を現代に復活させたのが「和菓子の日」です。六月十六日は厄除けと招福を願いながら、美味しい和菓子を頂きましょう。

名越の祓と水無月

「名越の祓(なごしのはらえ)」は一年の中間にあたる六月三十日頃に京都で行われる神事です。夏の疫病除けの行事で、この時季に無病息災を願って頂くのが、白いういろうに小豆をのせ三角形に切った「水無月」です。白い三角形は氷を、小豆は悪魔祓いを表しています。魔除けの効果がある赤色をした小豆を食べて無病息災を願う慣わしは京都を始め各地に伝承されています。

涼菓

肌寒い日があると思えば蒸し暑く感じる日も多くなる六月は、あんみつや水ようかんなどの涼菓が喜ばれる季節です。おもてなしにはガラス器などを用意して、清涼感を心がけましょう。