実りの秋から厳しい冬へと向かうこの季節、美味しいお茶と季節の和菓子で、豊かなひとときを過ごしたいものです。和菓子にまつわる季節の風習や秋から冬に頂きたい和菓子を御紹介します。

十三夜と和菓子

十五夜から約一か月後の旧暦九月十三日の夜に満月を観賞する行事です。これを十三夜といって、十五夜にお月見をしたら必ず十三夜にもするものといわれていました。十五夜だけでは片月見といい良くないものとされたそうです。十五夜の頃は里芋の収穫時期にあたるため「芋名月」、十三夜は栗や豆を供えるため「栗名月」とも呼ばれています。

実りの秋と和菓子

十月は栗、芋、柿、など秋の恵みの収穫時期を迎えます。和菓子の世界でも、この時季は旬をふんだんにいかしたお菓子が登場し、様々に形を変えた栗や芋が店頭に並びます。
色とりどりの木の葉や木の実を打ち物や生砂糖、有平糖、洲浜などで形作り、風に吹き寄せられかのように盛り付ける冨貴寄せは彩り豊かな日本の秋を表現した美しい和菓子です。

七五三と和菓子

十一月十五日の七五三は、子供の成長を祝う行事です。はじまりは徳川五代将軍綱吉が年少の頃に身体が弱く、十一月j十五日に行った五歳の祝いだといいます。十一月十五日は秋の収穫祭の日であり、特に日柄が良かったので、七五三の日に決められたそうです。男の子は三歳と五歳、女の子は三歳と七歳になる年に晴れ着を着て宮参りに行き、健康と成長を願います。
子どもの手にもたせる「千歳飴」は、紅白に彩られた縁起の良いお菓子です。長く伸びるという、親が子を想う長寿の願いが込められています。もともとは、江戸時代の1700年頃、浅草の飴売り「七兵衛」が売り出したのが発祥とされ、関東圏では水飴に少量の砂糖を加えて煮詰め、熱いうちに何層にも織り込んで作る晒飴(さらしあめ)が多いですが、地方や店によって材料や作り方が異なります。千歳飴の袋には長寿を意味する鶴亀や縁起の良い松竹梅などの図柄が描かれています。
また、内祝に和菓子を配る人も多く、上生菓子の詰め合わせや、お赤飯などが好まれます。

冬至と和菓子

冬至は二十四節気のひとつで、一年中で最も昼間の時間が短い日です。この日を境に昼間の時間が日ごとに長くなります。寒さもこの頃から次第に厳しくなり、節分の頃まで続きます。冬至の夜は、風邪除けの効果があるとされる柚子湯に入ったり、「難」を「禁」ずるにも通じることから南瓜(かぼちゃ)を食べるなどの風習が広く知られています。いずれも冬の寒い時季に不足しがちな栄養をしっかり摂って、養生することの大切さを伝える先人の知恵と言えるでしょう。うららかな春を迎えるために、寒い時季にエネルギーを蓄え、厳しい冬を乗り越えていきます。冬至の頃は柚子を使った和菓子が豊富に並びます。黄金色に染めた道明寺で小豆餡を包んだ「柚子餅」、完熟した黄ユズの実を形どった「柚子饅頭」は、柚子皮や果汁で風味付けしたあんを、小麦粉や米粉を使って淡い黄色に色付けし、饅頭皮で包んで蒸し上げます。温めて蓋付のお椀でお出しすると見た目にも温かさを感じて頂けるお菓子です。

年の瀬と和菓子

僧侶がお経を上げるために忙しく走り回るという意味の師走は、新しい年を迎える準備をする月で、他に「暮来月」「梅初月」「春待月」等の別名があります。この時季の和菓子は、陰暦の雪月から雪を題材にした干菓子や、災いを転じる難転が由来の十二月の茶花である「南天」を模した練り切りなど、新年への新たな願いを込めたものが並びます。
優しい和菓子と共に、この一年を振り返り、来る年に思いを馳せながら、穏やかな時間を過ごしたいものです。