和菓子を盛る器のことを菓子器といいます。蓋が付いたものやお皿になったものがあり、素材も陶磁器や漆器などがあり、和菓子を美しく魅せてくれます。菓子器は基本的には茶道で使われる用語です。茶道とはお客様におもてなしの心をもってお茶を振舞う日本古来の伝統的な作法で、お茶と同時に和菓子も出され、そこでは菓子器に和菓子が盛られるため、和菓子にとって器はなくてはならない存在なのです。

茶道では和菓子を大きく分けて二つの種類に分けることがあります。それは主菓子(おもがし)と干菓子(ひがし)です。主菓子は、羊羹や饅頭などの水分の多い和菓子で、一般的には生菓子とも呼ばれます。干菓子は落雁や煎餅などの水分の少ない和菓子です。ここではその二つの種類によって器を使い分けている茶道での器のご紹介と家庭での器選びのポイントをご紹介します。

主菓子の菓子器

「菓子椀」
菓子器の中で最も正式なものが菓子椀です。主に縁が金色で全体が朱塗りで蓋がついている器です。吸い物椀として使われるもののようですが、吸い物椀に比べると少し浅めです。季節を彩った和菓子にも合い、またシンプルな羊羹などにも合う器です。

「菓子鉢」
菓子鉢は陶磁製の器で、金色など華やかな絵が描かれているものが多いです。鉢ですので蓋はなく、こちらもお椀に比べると浅めの器です。しっとりとした主菓子をしっかりとした器で盛ることにより、より一層和菓子が引き立ちます。盛込鉢と言われる少し大きめの器ひとつに、お客様の人数分の主菓子を盛る時に使われるものもあります。

「縁高(ふちだか)」
五重の重箱の形で、漆器が一般的です。五人分の和菓子を準備する時に使われるもので、一段が一人分です。黒塗りのものが多いですが、朱塗りのものもあります。特に黒塗りの器は中の和菓子の色がひと際引き立って和菓子を美しく魅せてくれます。

「食籠(じきろう)」
食籠は円形や角形で一般的には漆器のものが多く、蓋が付いています。中には陶磁器のものもあります。色鮮やかなものもシンプルなものもあります。蓋が付いていることで乾燥も防ぎ、蓋を開けた時の感動を味わうこともできます。

干菓子器の菓子器

「高坏(たかつき)」
お皿や器に脚のついた少し背の高い器です。脚の高さは一般的には5寸(15.2cm)以下のものを高坏と呼びます。漆器のものが多く、色は黒塗りのものもあれば、朱塗りのものもあります。日持ちがする干菓子を盛るのに使われ、御仏壇に落雁などを御供えする時にも使われます。

「振出」
甘納豆などの小さな和菓子を入れるのに使われる器で、ひょうたん型で蓋が付いた小型のものが一般的で、陶磁器のものが多いですが、ガラスでできたものもあります。中身を出すときに振ってお菓子を出すことからこの名前がつけられました。

家庭での器選びのポイント

ご家庭などでは菓子器を取り揃えることはなかなか難しいでしょう。そのような時に家庭で和菓子を美しく魅せるための器選びのポイントがあります。ひとつめは、和菓子が色が鮮やかな時は器をシンプルな器にすること、そして和菓子がシンプルな時は器に色や柄を添えることです。そうすることで和菓子が引き立って見えるでしょう。ふたつめは、和菓子の温度に合った器を準備することです。夏の暑い季節のわらび餅など冷たい和菓子にはガラスの器など透明感のある器にすること、冬の寒い季節のぜんざいなどの温かい和菓子には木の器など温かみのある器にすることです。そうすることで見た目で感じる温度とともに和菓子の美味しさも引き立てることができるでしょう。

まとめ

和菓子を美しく魅せてくれる器は和菓子にとってなくてはならない存在です。和菓子の特徴を掴みながら茶道のように伝統的な器に習ってもよし、自分の感性に身を任せて器を選んでみるもよし、和菓子とともに器選びにもこだわって和菓子の世界を満喫しましょう。