和菓子にはお茶がつきものです。美味しい和菓子をいただくとき、ほっと一息するお茶があるとより一層和菓子が引き立ちます。しかしそれは日常の和菓子をいただくシーンでのことです。茶道の世界ではお客様におもてなしの心をもってお茶をふる舞うことが目的とされており、和菓子はお茶の引き立て役として存在します。つまり、和菓子にお茶がつくのではなく、お茶に和菓子がつくという言い回しのほうが実は正しいのかもしれません。このことはお茶と一緒にいただく和菓子をお茶請けと呼ぶこともあることからも分かるでしょう。「請ける」とは「受ける」と同じ意味で、茶道ではお茶の前に和菓子をいただくことによって口の中にほのかに甘みを残し、お茶を美味しくいただけるようにします。また、特に茶道でいただく濃茶(こいちゃ)はその名の通り濃いお茶で、昔は薬として扱われていたほどです。濃茶による胃への負担を軽くするために先に和菓子をいただいてからお茶をいただきます。

お客様へのお茶と和菓子の出し方

家庭や職場でもお客様にお茶と和菓子を出すことがあるかもしれません。お茶と和菓子を準備したもののいざお客様を目の前にするとちょっと緊張してしまいます。そんな時はおもてなしの心をまずは思い出しましょう。

まずはお茶と和菓子の運び方です。お茶と和菓子はなるべくひとつのお盆に入れて運びましょう。また、茶托にお茶を最初から乗せてしまうとお茶がこぼれやすいので、茶托にお茶を乗せて運ばないようにします。お客様のそばについた後、お盆の上で茶托にお茶を乗せて両手で持ってからそっとお客様に出します。お茶と和菓子を置く位置は、お客様から見て右がお茶で左が和菓子になるようにしましょう。お茶と和菓子を出す順番は、お客様の右から出す場合は左の和菓子を出してから右のお茶、お客様の左から出す場合は右のお茶を出して左の和菓子を出しましょう。先に出したものの上を通過しないように出すことが基本です。お茶を置く時は、湯呑みに柄がある場合はお客様の正面にくるように向け、茶托に木の目がある場合は木の目がお客様に対して横向きになるように置きましょう。

最後に「どうぞ」などひとこと添えるなどができれば一番良いです。もちろん大事な商談途中にお茶と和菓子を出す場合などはその一言が少し邪魔をしてしまうことになるかもしれませんので、静かにお茶と和菓子を出して軽くお辞儀をして退出する程度にしましょう。このようにおもてなしの心を忘れないようにすることで、お客様に失礼のないようにそして心地の良い空間を過ごしていただけるようになるでしょう。

お茶に合う和菓子

お茶請けとして使われる和菓子は、関東はおかきやあられなどの干菓子、関西はお饅頭などの生菓子が出されることが多いですが、特にこれでなくてはならないといった決まりはありません。ただしここでも忘れてはならないのはおもてなしの心です。もし自分がお茶と和菓子で何を出されると嬉しいのかを考えてみることが一番です。熱い夏には寒天を使った涼しげな水羊羹が出されると嬉しいものです。また、おかきやあられにしても一口で食べられる和菓子が出ると食べやすくて会話もしやすいですね。おもてなしとは、「持って」「成す」つまり成し遂げるのような意味で、お客様が不快な気持ちにならないようにするだけでなく、対価も求めず心をこめて五感を持って感動を与えることです。

まとめ

お客様にお茶と和菓子を出すということはおもてなしをしているということです。似たような言葉にサービスという言葉がありますが、サービスは対価が発生する行為で、外国などでは荷物を運んでくれるホテルマンにチップを渡すことがありますがこれはサービスと捉えられるでしょう。おもてなしは世界の中でも日本にしかない独特な文化・風習で、相手を思いやる最上級の言葉です。そのことを胸にお客様にお茶と和菓子が出せるようになると素敵ですね。