和菓子は日本の豊かな食文化の中で育まれてきました。
作物が豊富な北海道や東北地方では、地元の名産を使った和菓子や地元の風景をモチーフにした和菓子など、個性豊かな銘菓が並びます。
そのいくつかを御紹介します。

北海道で人気の和菓子

わかさいも(洞爺湖町・わかさいも本舗)

作物が豊富な北海道は和洋を問わずスイーツの宝庫でありますが、このわかさいもの原点は「さつまいもがとれない土地で焼き芋を作りたい」という創業者の思いであったそうです。大福豆で煮た白餡に北海道の刻み昆布を加えて練り上げたものの表面に、薄く卵醤油を塗って香ばしく焼き上げたわかさいもは、北海道を代表する銘菓です。

月寒あんぱん(札幌市・月寒あんぱん本舗)

明治39年創業の老舗和菓子店で、創業当時から作られている半生菓子です。初代社長が当時東京で人気を博していたあんぱんを作ってみようと思い立ち、月餅にも似た月寒あんぱんが完成しました。餡は、北海道小豆を100%使用した自社製のこしあんのほか、南瓜あん、黒糖あん、黒胡麻あんなど種類も豊富です。

青森県で人気の和菓子

竹流し(弘前市・大阪屋)

380年の歴史をもつ東北でも指折りの老舗和菓子店の銘菓である竹流しは、240前に四代目が考案した蕎麦風味の煎餅です。当時出来上がった竹流しを津軽藩主に献上したところ大変に喜ばれ、京都御所に献上したとも言われています。すべて手作業で作るため一枚一枚の形も違う趣のあるお菓子です。

紅小町(青森市・甘精堂本店)

明治時代の茶店として創業した甘精堂の紅小町は、りんごの産地の青森ならではの津軽りんごをイメージして作らたお菓子です。青森県産りんごの果肉が入った白あんを桃山でくるみ、小さなりんごの形をした紅小町は、お土産にも大人気です。

岩手県で人気の和菓子

かもめの玉子(さいとう製菓・大船渡市)

大船渡の青い海原の上を颯爽と飛ぶかもめをイメージして作られたかもめの玉子は、カステラ生地の中に黄身あんを入れた玉子の形をしたお菓子です。ホワイトチョコレートでコーティングしているため見た目も玉子そのもので、岩手の銘菓として愛されています。

南部煎餅(二戸市・巌手屋他)

岩手県、青森県の名物に南部煎餅があります。もともとは旧八戸藩地域に伝わる小麦粉と塩を混ぜて焼いた白せんべいといわれる煎餅の一種ですが、近年は白せんべいに黒胡麻をたっぷり入れたごませんべいが主流です。また、甘いクッキー生地に落花生を入れて焼いたクッキーせんべい、南部煎餅で水飴をはさんだあめせんべいなども人気があります。南部煎餅の老舗である巌手屋では、ごませんべいの上にさきいかをのせて焼いたいかせんべい、岩手産のりんごチップをのせて焼いたりんごせんべいなど、地元の名産を使用した南部煎餅も作られています。

宮城県で人気の和菓子

ずんだ餅(仙台市・村上屋餅店他)

宮城県といえば、すりつぶした枝豆の餡を餅に絡めたずんだ餅が有名です。中でも村上屋餅店は130年の歴史をもつ、ずんだ餅発祥の店と言われる老舗です。滑らかで色鮮やかな餡は甘さ控えめ、餅米は宮城産のみやこがねに拘り、素朴で深い味わいを楽しめます。

秋保おはぎ(仙台市・主婦の店さいち)

秋保温泉街にあるスーパーマーケット「主婦の店さいち」に、一日平均5000個売れるというおはぎがあります。種類はあんこ、きな粉、ごま、納豆があり、1個130gでボリュームがあります。あんこは糖度が低く、三時間かけて炊きあげるので柔らかく、製あん業者も試食に来るほどの美味しさです。

秋田県で人気の和菓子

志んこ(能代市・セキト本店)

1940年から作られている地元で愛される和菓子です。箱いっぱいに詰められた特上のこしあんに、うるち米で作った丸い餅を絡めたもので、保存料を使用していないため、賞味期限は当日です。

ふかしもろこし(仙北市・唐土庵本店)

もろこしとは秋田県地方で作られている落雁の一種です。伝統的なもろこしは型打ちの後で焼いて乾燥させるため固くなりますが、ふかしもろこしは生のままのもろこし生地を餡と一緒にまんじゅう生地で包んで蒸し上げたもろこしの風味豊かな逸品です。

山形県で人気の和菓子

峠の力餅(米沢市・峠の茶屋最上屋)

奥羽本線の秘境駅として名高い峠駅で、100年以上の昔から作られているこしあんの大福で、もともとは力仕事をする人夫に振る舞われていました。餅は地元産のもち米「ヒメノモチ」を使用しています。今も受け継がれる峠駅のホームでの立ち売りが有名です。

ふうき豆(山形市・山田屋他)

ふうき豆は冨貴豆とも書き、青えんどう豆を砂糖で炊いた山形を代表する和菓子です。製造過程で豆を蒸かすことからふき豆と呼ばれ、それに縁起の良い文字として冨と貴を充てたそうです。青えんどうは一粒一粒薄皮を剥いてに炊きあげるため、しっとりと柔らかな口当たりです。

福島県で人気の和菓子

薄皮饅頭(郡山市・柏屋本店)

日本三大饅頭のひとつとされる柏屋の薄皮饅頭は、今から約500年前の江戸時代、奥州街道郡山宿の薄皮茶屋で誕生しました。餡がたっぷりで皮の薄い饅頭は人気を呼び、旅人はこの饅頭を食べるためにわざわざ遠回りをするほどだったそうです。上品でなめらかなこしあんと甘さひかえめでふっくらとしたつぶの食感が楽しめるつぶあんの二種があります。

家伝ゆべし(郡山市・かんのや本店)

かんの屋は、坂上田村麻呂ゆかりの三春町で、柏屋と同じく江戸時代(1860年)に創業した老舗です。もちもちしたうるち米生地で甘さ控えめの上質なこしあんを包んだ餡入りのゆべしです。三角の形は翼を広げた鶴をイメージしていますが、これは坂上田村麻呂が二羽の丹頂鶴に育てられたという言い伝えによるもので、家伝ゆべしも二個一組で販売されています。