古くから外国の文化に触れてきた九州・沖縄では、カステラや黒棒など、洋菓子の素材や製法に着想を得た和菓子も多く見られます。

福岡県で人気の和菓子

梅ヶ枝餅(太宰府市・かさの家他)
太宰府天満宮の参道で販売されている名物菓子です。平安時代、菅原道真が太宰府に左遷され、罪人同様の生活を強いられていた時に、近くの老婆が梅の枝に粟餅を巻き付けて菅公に差し入れたといわれています。太宰府天満宮参道の門前町では、この故事にならって”梅ヶ枝餅が作られるようになりました。もち米とうるち米を使った生地で粒あんを包み香ばしく焼き上げた梅ヶ枝餅は太宰府参拝には欠かせない人気の和菓子です。

黒棒(八女市・トリオ食品他)
主に福岡県筑後地方や佐賀県、熊本県で作られる焼き菓子です。黒砂糖、卵、小麦粉、重曹で作った生地を棒状にして焼き上げ、適当な長さに切り揃えて、黒砂糖や生姜で作った糖蜜を表面に塗って乾燥させたものです。発祥には諸説ありますが、古くから作られているお菓子であることは確かです。ビタミンやミネラルが豊富な黒砂糖をふんだんに使用しており、疲労回復や少しだけ甘いものが欲しい時などにも最適な誰からも愛される素朴なお菓子です。

佐賀県で人気の和菓子

岸川まんじゅう(多久市・森上商店)
多久市北多久町の岸川地区に古くから伝わる酒まんじゅうです。ご飯と麹を代々伝わる「酒のもと」で発酵させ、小麦と砂糖と塩を混ぜてこね、約十時間ねかせて蒸し上げます。添加物はいっさい使用せず酒だけで発酵させる昔ながらの作り方で、素朴な味わいが人気です。ほんのり甘く、ほのかに酒の香りと酸味があり、まんじゅうそのものの味が楽しめます。直径10センチの大きな酒蒸し饅頭は、基本は餡なしですが餡ありも販売しています。

長崎県で人気の和菓子

かす巻き(島原市・美弥光製菓)
かす巻のかすとはカステラの意味で、小豆餡または白餡をカステラ生地で巻いた島原地方の和菓子です。風味よく練り上げた小豆あんとふっくらしたカステラ生地、かりっとしたざらめのハーモニーが贅沢な逸品です。江戸時代に参勤交代で江戸から戻った藩主の無事を祝い、長旅の疲れを癒すために考案されたとの言い伝えがあります。

熊本県で人気の和菓子

いきなりだんご(上益城郡・芋屋長兵衛他)
熊本県の家庭でも作られるお馴染みの郷土菓子です。輪切りにしたさつまいものうえに小豆あんをのせ、餅か小麦粉を練って平たく伸ばした生地で包み蒸しあげます。芋屋長兵衛では、生地に九州産小麦を使用し、あんこは北海道産小豆、芋は自社グループの農場がある阿蘇の麓で採れたさつまいもを使っています。

加勢似多(熊本市・お菓子の香梅)
加勢以多(かせいた)」という不思議な名前は、ポルトガル語でマルメロジャムの箱という意味だそうです。江戸時代に幕府への献上品となった細川家秘伝の伝統銘菓を復元したお菓子で、もち粉で作ったおぼろ種でマルメロ羹(現在はカリンのジャムを使用)を挟んで、細川家の家紋「九曜の紋」を焼き付けて、細川家秘伝のお菓子を再現しました。ほのかな甘酸っぱさとサクッとした口当たりが特徴です。

大分県で人気の和菓子

元祖栗そば饅頭(日田市・旭饅頭)
慶応元年創業の老舗「旭饅頭」の六代目が考案したのが元祖栗そばまんじゅうです。栗が丸ごと一個入ったそば饅頭は、添加物を一切使用せず、ふっくらとした蒸し上がりで、そばの風味と栗の甘みが絶妙です。今では観光客で賑わう豆田町の名物となっています。全国菓子博覧会で毎回大賞や金賞を受賞しているお菓子です。

宮崎県で人気の和菓子

鯨ようかん(宮崎市・阪本鯨ようかん店他)
米の粉を練った物を餡ではさんで蒸した和菓子です。日持ちがしないため、「菓子の刺身」とも言われています。島津五代藩主惟久が幼少のころ、生母が鯨のように大きく力強く育って欲しいと願いを込めて作らせたのが由来とされています。毎日の手作りの製造数が30本の阪本商店では鯨羊羹は珍品として扱われています。

やぶれまんじゅう(延岡市・虎屋他)
今から400年前に延岡の製菓店が売り出したのが始まりです。天岩戸伝説に登場するアメノウズメノミコトが手に持って舞ったオガタマの実が破れ饅頭のルーツで、別名をオガタマまんじゅうとも呼ばれています。
小麦粉で作った皮のそこかしこから中の餡が覗く薄皮まんじゅうで、餡を包む薄皮は、たっぷりすりおろした山芋と米粉と砂糖を合わせた粘りのある独特の生地になっており、まるでかるかんを薄く削いで餡にはりつけたような皮で、ほんのりとした甘みがあり、餡の風味を引き立てます。

鹿児島県で人気の和菓子

かるかん饅頭(鹿児島市・明石屋他)
かるかんは鹿児島県をはじめとする九州地方特産の棒羊羹の形をした、自然薯(山芋)を原料とする和菓子のことですが、近年はそのかるかんの生地の中に餡を包んだ「かるかん饅頭」が人気です。ほのかな甘さがあるもっちりとした生地と漉し餡の組み合わせが絶品で、自然薯の素朴な風味と上品な漉し餡の甘さが口いっぱいに広がります。根強い人気を誇る郷土菓子です。

沖縄県で人気の和菓子

ぎぼまんじゅう(那覇市・ぎぼまんじゅう)
創業100年を超える那覇市首里の老舗で作られる「のまんじゅう」は、中華まん風の大きめのあんまんで、食紅で大きく“の”と書かれています。ふかふかの皮と程よい甘さのつぶあんと、蒸す時の敷月桃の香りが特徴です。鮮やかな「の」の字は「のし」を表しているとされ、お祝いごとにも出されるお菓子です。