千代田区神田駿河台下の交差点のすぐそばに、創業89年の和菓子の名店「御菓子処さゝま」があります。
都会の真ん中にいながら別世界のように趣のある店構えと落ち着いた店内、そして一店舗主義につき百貨店などでは絶対に入手できない名物「松葉最中」や羊羹をはじめ数種の季節の生菓子や干菓子の見本がガラスケースに並びます。
ここでは「御菓子処さゝま」の歴史やこだわり、代表的な商品である「松葉最中」の魅力、季節の上生菓子の数々を御紹介します。

さゝまの歴史

「御菓子処さゝま」は、昭和4年(1929年)に初代の笹間繁氏が神田小川町にササマパン店を開業したことに始まります。普通のパンではつまらないからと、初代は生地に卵を3割入れて黄色い食パンを作ったり、みつ豆パンなどのユニークなパンを編み出し、当時の中村屋の社長が車で買いに来るほどだったそうです。昭和6年(1931年)頃より、もともと興味があった和菓子の世界へ入ることになり、和菓子店を現在の駿河台下に開店、パン店の方は昭和9年に閉店して和菓子専門店になりました。
開業の時より茶道に使用できる和菓子を目指し、作り続けて現在に至ります。
1972年に繁氏の長男である笹間芳彦氏が二代目店主となり、今もお店を守り続けています。

一店舗主義へのこだわり

さゝまのホームページでは、御菓子の素材や作り方を公開しています。レシピはずっと変えておらず、材料はいつも手にはいるもので、いいものを使うというのが店主のこだわりです。
さゝまのこだわりのひとつに一店舗主義があります。美味しいお菓子を作るためには、余計なことに手を出さないのが、初代の頃から続くさゝまのモットーのようです。自身が見て触って確かめることができない百貨店などでお菓子を売れば、確かに売り上げは伸びますが、それではお菓子の品質を妥協せざるを得ません。自分がおいしいと思ったもの、好きなものを、まじめに売っていけばよいという店主の潔い姿勢があればこそ、さゝまのお菓子には何処か凛とした風情があるのでしょう。

松葉最中

お店で最も人気があるのが通年の御菓子である「松葉最中」です。小ぶりの最中が紫の鹿の子文様の箱にきっちりと詰まっており、手土産にも最適です。
最中は三味線の胴の形を模した四角形で、中央の菱形模様の松葉紋が、松葉最中の名前の由来になっています。餡は小豆の風味が生きた濃厚な漉し餡で、香ばしく軽い口当たりの皮と良く合います。神田神保町という土地柄もあり、作家や文化人にもファンが多い最中です。

季節の生菓子

さゝまには毎月10種類前後の季節の生菓子が並びます。季節ごとに変わる菓銘とデザインを楽しみにお店に通う人も少なくありません。中でも二月の菓子である「下萌」は、地上には雪がありますが、土の中では草が萌出でる準備をしている様を表現しており、雪は白餡、土は小豆の漉し餡、草は蓬の入った餡で出来ています。春に向かう息吹が感じられる御菓子です。また雛祭り期間の限定商品である「おひなさま」は、練り切りで作ったお内裏様とお雛様が可愛らしく、雛祭りが近付くと、多くの人が「おひなさま」目当てに来店します。

松葉最中は勿論のこと、ここでしか出会えない美しい和菓子の数々を是非お店でお確かめ下さい。