6月下旬ごろから8月初旬のお盆がはじまる前ごろまで、日本ではお中元というギフトイベントがあります。お中元は一年の折り返し地点に行われることから、半年間お世話になりました、暑い夏を元気に過ごしましょう、という意味が込められたものです。年末にはお歳暮もありますが、お中元ではお歳暮とは違って涼しげな和菓子が贈られることが多いです。

老松(おいまつ)/本わらび餅

京都市上京区北野天満宮東門下の花街(かがい、芸妓屋などが集まる場所)にたたずむ上七軒(かみひちけん または かみしちけん)にあるのが、京都の和菓子の老舗老松(おいまつ)です。老松では婚礼菓子や茶席菓子をはじめとして絶えず新しい和菓子を生み出しています。中でもこの本わらび餅は他では味わえない格別のわらび餅となっています。

わらび餅は、本来ならば植物のわらびの根から採られるでんぷんの粉で作られたお餅のような和菓子です。しかし、わらびの根から採れる本わらび粉は採取することが難しいため、大変高価で貴重なものとされています。よくスーパーなどで見かけるわらび餅は本わらび粉ではなく、さつまいもやじゃがいもなどの加工でんぷんとも呼ばれるわらび粉を使用しているのです。この老松の本わらび餅は宮崎県産の本わらび粉を100%使用しています。黒蜜ときな粉が別に添えてあり、黒蜜も糖度を低めにするなどこだわりぬき、きな粉も国産大豆をわらび餅に合うような絶妙な炒り加減で仕上げてあります。本わらび粉で作られた本わらび餅は日持ちがあまりしないため、老松の本わらび餅は缶づめになっています。昭和50年代後半に開発され、その味は今でも受け継がれる夏の暑い時期の贈り物としてお中元におすすめの一品です。

鶴屋吉信(つるやよしのぶ)/夏小袖

織り物の街、京都市上京区今出川通堀川の交差点北西にある鶴屋吉信本店は、新社屋として平成4年に京都の伝統建築である町家の様式を生かして建てられました。その雅やかな本店は京都府都市景観賞の市長賞を受賞するほどで、入口の上には一枚の欅の木の板でできた鶴屋吉信の代表銘菓である柚餅(ゆうもち)と書かれた看板が掲げられています。

夏小袖は、下はつぶ餡の羊羹で上は透明感のある寒天の中に夏らしいかえでの錦玉の青葉が閉じこめてある2層になった和菓子です。一般的に羊羹はこし餡から作り、その中に小倉のつぶ餡を散らすことが多いですが、この夏小袖は小倉羹と呼ばれるようにこし餡を使わず小倉のつぶ餡のみを炊き上げて作られた羊羹です。上の部分はこはく羹と呼ばれる寒天を煮て溶かして砂糖を加え混ぜて固めたものです。青かえでがなんともいえない涼しげな小袖を表現していて、夏の暑さも吹き飛ばしてくれるかのようでもあります。

銀座かずや/ かずやの煉(れん)抹茶

日比谷に本店を構える人気の老舗和菓子店である銀座かずやは、第21回神奈川県名菓展菓子コンクール技術賞受賞商品でもあるこのかずやの煉(れん) 抹茶を代表銘菓として和菓子の製造販売を行っています。元々銀座7丁目の路地裏の小さなお店で煉り菓子を販売したのが銀座かずやの始まりでした。今ある日比谷のお店も一坪の煉り菓子店としてお店を構えています。

かずやの煉抹茶は、究極の煉り菓子を目指して作られた和菓子で、八女星野村の高級八女抹茶をふんだんに使用している煉り菓子です。煉り菓子の特有のまったりとした食感と抹茶のほろ苦い風味が特徴です。化学添加物、着色、保存料等を一切使用しておらず、何度も何度も試作品を作り試行錯誤を繰り返して作られたこのかずやの煉は体にいいものをという部分にもこだわった和菓子職人の心意気が感じられる一品です。日持ちがしない繊細な和菓子のためお取り寄せができないのでお店で購入する必要がありますが、だからこそ贈って喜ばれる和菓子です。

まとめ

お中元におすすめの和菓子はいかがでしたでしょうか。贈り物をするということは貰う側の貰う喜びはもちろん、贈る側も喜んでもらえるという喜びを感じることができ、お互いにありがとうの気持ちが産まれる素敵なことです。お世話になった人に夏の涼を和菓子でお届けしてみてはいかがでしょうか。